1011-12日(水-木)チューリッヒ工科大学


チューリッヒへ着いての3日間は、まるで電話のかけ通しだった。宛先はベルンとパリの

日本大使館、チューリヒの大学、研究所...。 CITY Hotel Zurich のレシートを
を見ると

一泊52スイスフランのホテルから12通、電話代が合計32.9 フランとなっている。 今更

うにもならないが泥縄とはこの事だ!
  ベルンの日本大使館が急遽確保して呉れたアポイ

ントメントは、次の通り:


  『午後4時半、工科大学の Mr. Lengenに会え、RamistrasseとKunstlergasseの交点に
 
  ある Haupt Gebaude へ行ってそこの House Meister に聞け』


午後4時半じゃ話にならないから、朝からそのLengen氏に電話してみたがご不在、代わり

に出て来た人物は何も聞いてないとの事だが、無理やり頼んだことには、『その前に
兎も

角、工科大学のニューキャンパスを見学させて欲しい! Hause Meisterは?』


Haupt Gebaude の Mr. Lengen 氏とは なんと守衛長さんのことだったらしい。 

『見て歩くだけなら』という事で若い守衛さんMr. Signer君を案内役に出してくれた。
 

英語は駄目だが、ETH(工科大学)の建物なら持っている鍵束でどこでもOK。先ずはスクー

ルバスに乗って終点まで、着いたところが新工科大学と判ったが、広いエリアのどこがど

こやら判らないままに、Signer君を頼りにあちこち見て歩く。



 

    新学生食堂




 翌12日()も、午前中はあちこちの宿題を電話で決めようと、いや決まらない話の方が
多いの

で、いい加減にしてまたSigner君と出かける。壁に掛けてあった大きな全体計画図を見て

ニューキャンパス は全体の1/3程度の進捗状況かなと勝手な推測、この計画図の中央部の

不整形な部分は、六角形の中庭全体に屋根をかけて大空間にしたとされる、当時の東京で

も評判だったあの建物だなと早速覗かせてもらう。 



  

 こうして新キャンパスを見学している間に、なんとなく監督員事務所らしき建物に寄っ

てみたら、この事務所のチーフらしい Mr.Staub氏 がとても親切で、見学を希望して

いた給水公害研究所などとも連絡を取り、例の Mr. L氏にも電話して呉れたが、結局この

人には会えずじまい。
そうこうしている間に、良くもまあ関係各部署と調整を取ってくだ

さったらしく、私は
この旅行で初めて見学先から招待状を頂いた!   曰く:

      14;15  Mr. RheinETH/工科大学)が新機械技術研究所の前で Mr. KODAMA に          
          会い彼の車で 新キ
ャンパス(Dubenndorf)の 給排水公害研究所へ案内

        14:45-16:00 新給排水公害研究所でDr. L. Badoux 氏に会い 施設等見学する。

        16;45   Zurich中央往き列車がDubenndorf を発車する。

        17:00  Mr. G. Steiner (Zuric工科大学 建設管理部Eidgenossische Technische

               Hochschule, Zurich)と討議する。 建設部の秘書が待機する筈。


       ETH 給排水公害研究所 (Dubendorf)


ここから先はお蔭様で、全て願った通りでした。Dr. L. Badoux ご自身に、実験も出来る

大講義室
に案内して頂きました。 黒板も映写幕も、投影装置までは普通でしょう。驚か

されるのは、写真
に見えている教授のデスクの側面がパイプのジョイントだらけという点

です。下の図は受けと送り出しのジョイント
の説明図でしょう。

      
  動力室:これが実験室のレベル? 
      化学実験室:吸排気に独特の工夫が

 

           

                ETH  教育政策と建設部

建設管理部のMr. GEORG STEINER 氏は待ってくれていた。 

先ずは大学組織と教育政策の説明: 

     工科大学 ETH (Eidgenossische Technische Hochschule) はスイス連邦に、総合大

    学 UNI は チューリヒ州政府に属している。 一方、ローザンヌ工科大学の方はフラ

     ンス語で (Ecole Politechnique Federal Lausanne) となる。

    UNIは総合大学という感じで 「sizennwo観察し記述する」 ことが使命であるのに対し

    ETHは 「自然と対峙する」 という役割り分担を続けており、都心の Hegenberg と、郊

    外の Dubendorf その他各地に分散して研究と教育を両立させてきた。

    ちなみに ETH と UNI は格式という点では全く同列だ。 これを一つの表にしてみる

    と次のようになる。
 
                              

 Mr. STEINER は、大学教育の今後の問題も次のようなスケッチで表現する。

           

                MR. Steiner によるスイスの高等教育政策

 現在最高学歴を歩んでいる1800人の大学生の教育レベルを10倍の学生に拡げなけ

ればならない。このことは最高レベルの専門学校を
10倍にすることだが、そこから

更に抜け出す最高学歴者は、やはり
1800人止まりなのだ。(厳しいシステムだ!) 


 

それより、シュタイナー氏のプランニング・グループが当面している現実の問題は、

実施グループとの間の業務量のバランスだ。 横軸に時間、縦軸に仕事の量と予算執

行額を取ってみると、時間的制約、アーキテクトの選定等など、両者の分担する割合

は流れるように変化していく。

          

                 計画と実施のバランスは確実に変化する


 『今日はここまでにして、さあ帰ろう。家は近いから寄って夕飯食って行けよ』との

お招きに甘えてついて行った。しばらく雑談して、『じゃそろそろ行こうか』と立ち上

がってどうするかと思えばなんと、『奥さんは留守で、夕飯はお隣でご馳走になる、お

客の貴兄もお相伴という事になってるんだから遠慮しなくて良いよ』、ということにな

ってしまった。

          
            右から、小玉、Mr.SteinerMr. & Mrs. Hans Erb

                   − お隣のHans Erb家にて

お隣のエルブさんご夫妻は以前、サン・サルヴァドルでCENTRO ELECTRICO という会社

を経営しておられたがられたが、引退して今はチューリヒにお住まいとのこと。写真は

いずれも南米からのお土産。

       1枚の板から切り出した組み立て椅子     螺鈿で飾った車輪付き文箱(?)


 奥様曰く、『Georg has been playing war for three weeks untill last week!』、

何の
ことかと思ったら、義務で戦争ごっことはさすが Swiss だと感心した。 Mrs.

Steiner
は留守役を交代して、子供二人を連れてどこやら旅行中だそうな。
私が『明

()はまた見学だけど、14-15 (土・日)は旅行日で空路ジュネーヴへ、17()

ローザンヌ工科大学を見学の予定』と喋ったら、『そんなの止めて周遊券買って列車で

アルプスへ行くべきだわ。時刻表は私が調べてあげるから。』という事になり、この週

末が俄かに楽しみになって来た。
奥様は忙しく時刻表を調べながら、愉快に話し・笑

い、賑やかで、僕らも調子に乗ってしっかり飲み・食い、楽しい一夜を過ごさせて頂い

た。

 『大変どうもご馳走さま』と失礼して、荷物を取りにシュタイナー家に戻ると、ご機

嫌の
シュタイナー君、バイオリンを取り出して聞かせてくれる。『まあ もう一杯』

乾杯を何と言ったか忘れてしまったが、兎も角ホテルに戻ったのはもう明け方! 

                   Steiner家でも一度!



1013日(金)ブラウンボヴェリ社 リサーチセンター

 朝、出かける前に、これまでに溜まってきた訪問先の参考資料、地図、パンフレッ

トなど、これから邪魔になりそうな物を、先に纏めて東京宛送りたいと考え、大きな紙

や紐など欲しいと頼んだら、かなり年配のボーイさんさっさと作業して、郵便局へ持っ

て行くから代金は後でと、凄く親切で感激した。大きな荷物は、フランクフルトからジ

ュネーヴ止まりで先に送ってあるし、11日に打ち合わせておいた通り、無事に次の訪

問先 BB社に到着。

   お目にかかった方々(大勢さんで誰が誰だか分からなくなっている):

 Prof. Dr. Speiser (研究所長)Research Laboratories Vol. 1の著作者代表。 

Mr. Rudolf Bieri  (BB 社の Asistant General Manager)

Miss Elsenaar (Mr. R.bieri の秘書、この訪問について交渉

Mr. Wilhelm (Building Co-ordinator) 

Mr. Kaufman  (Mr. Wilhelmの助手か? 色々面倒見てくれた) 

この研究所の課題のついて説明して呉れたのは Mr. Rudolf Bieri だったか?     
 PH-Problem: PHをコントロールするためにために、酸やアルカリを使うが、そこ

   に重金属
排液(?)の問題が出てくる。当然また化学処理の必要が生ずる、、。

  サパリ分からなかったが、この研究センターは ETH 等とも組んで研究を進めてい

   るらしい。

 次はResearch Center の人員構成その他について:

  サイエンティスト 100名 (専門分野:Solid state physics, Material      
  science,
 Metallurgy, Laser=optics, Electronics, Plasma physics, Several

  theoreticalgroups),  
テクニシャン160,  管理部門 30


研究棟の部屋割り:Lab rooms 50, Offices 120, Auditorium 1 (150 seats),  

  Conferrence rooms 8, Work shop ?


Design-depts. belong to Mr.Wilhelm Pilot plant?, Library?,

  Computer
 Room, Cafeteria

Total Site: 69,000 平米  Building: 9,500平米

 設計コンペは6社指名、当選者は Steiner Architect Co.ltd : 

当選案は傾斜の緩さと整地によって、低い方から高い方に向かって123層と並べる独特の配置計画。現在中央の2階建てまで出来上がった段階か

    当選案 模型

 
敷地の低い方に低層部を、高い方に1層ずつ重ねて行くという考え方(理由は分からな

い)
は生きているが、最初の模型とはすでに設計が変更されているようだ。

   

地震を知らない国のプレキャスト・ラーメン構造のようだが、柱・梁の接合部と配管の

関係につい
ての工夫が成功しているか否かは分からない。


  
 
       建設共同体事務所の前に立つ Mr. Wilhelm 氏と Mr. Kaufmann 氏 

    今日のインタビュ−はお終い。  お二人に案内されて近くの洒落たレストランへ。

 

      

          旅に出て初めて、このレストランで豪華な昼食を頂いた。   

     明日はインターラーケン経由、登山電車でユングフラウヨッホへ!!!

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