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不思議な大会

(July.11、2006)

不思議な大会

決勝トーナメント1回戦が終わった段階ではとても面白い大会だという印象だった。ところが、決勝を終わった今、面白かったのか???と考えてしまっている。何が影響しているのか。
準々決勝以降の試合を振り返ると、攻撃型&ラテン系のチームが敗退していっている。スペイン、アルゼンチン、ブラジル。
特に大きいのはアルゼンチンとブラジルのベスト8敗退だ。
ブラジルはロナウジーニョがお疲れだったということに尽きるだろう。
2トップとの連携もエトウとの関係のようなわけにはいかなかった。エトウのように縦横無尽にボールを引き出すタイプがロナウジーニョには必要だったのかもしれない。
彼はとにかく今シーズン目一杯プレーしてきて、ヨーロッパチャンピオンにもなったが、あのころからパフォーマンスは落ちていたからね。残念でした。
セルビアモンテネグロ戦で最高のパフォーマンスを演じたアルゼンチンの攻撃陣が、ドイツのDFに沈黙したのはどういうことだろう。今大会のアルゼンチンのFWはサビオラが効いていたのだが、なぜかドイツ戦の先発はテベスで、サビオラは結局出なかった。おまけにペケルマンが何を血迷ったか、リケルメを70分過ぎに下げてしまった。
攻撃のチームが守備に専念して守りきるのは難しいというのを絵に描いたような試合だった。
決勝はイタリアとフランスだったわけだけど、イタリアは誰もが認める守備のチーム。トッティがあれだけフィットしていなくても、ブッフォンとカンナバーロだけで優勝したようなもんだ。
アンリとジダンがいるフランスも決して攻撃のチームではなく、センターバック2人とビエラ、マケレレの4人がとても固かった。
守備のチームが結局勝ち上がるのかぁ・・・という思いが大会の前半と後半を違うものに見せているんだな。
そうやって考えると、評価していいのはドイツじゃないだろうか。元来攻守にバランスのいいチームを作る国だが、今回は攻撃が今までのドイツに比べてイキがよかった。ポドルスキ、シュバインシュタイガー、クローゼ、ラームと機動性の高い選手が光を放っていた。
とにかく、大陸の壁は厚いということがまた証明されてしまった。ヨーロッパの開催で南米チームが優勝したのは1958年スウェーデン大会のブラジルだけだからね。

お気に入りのチーム、選手

さて、僕のお気に入りのチームはイングランドだ。これはずいぶん前から変わらない。
今回はベッカム、ジェラードのコンディション不良とランパードの不調、そしてルーニーの退場劇に、オーウェンの大ケガ。これだけツキがなければベスト8敗退もしょうがないね。
その他で気に入ったチームはといえば、誰もが認めるアルゼンチンだ。これだけ多彩な攻撃を繰り出せるチームは最近ではお目にかかれなかった。それだけに敗退は残念だね。
それから選手で気に入ったのは誰か。今回は個の力で打開しようとした若くてイキのいい選手が何人かいた。
その筆頭がC・ロナウド(ポルトガル)だ。でもルーニーの退場の一件で評価下げたみたいだね(僕は確認してないのでコメントなし)。あとは、F・トーレス(スペイン)、リベリー(フランス)、ポドルスキ、シュバインシュタイガー(ドイツ)あたりは次回南アフリカ大会のスター候補だね。
それから、セントラルMFでお気に入りの選手といえば、ピルロ(イタリア)だな。なぜ彼が中盤でフリーになれるのか、日本の中盤の選手は研究した方がいいんじゃないか。
そして今回出会った一番のお気に入りはドワイト・ヨーク(トリニダード・トバゴ)だ。34歳の彼は、昔はマンUでバリバリのFWだった。それが、攻守のバランスをとり、泥臭いタックルを繰り返し、攻撃の起点として多くのパスを出し、初出場のチームをキャプテンとして引っ張った。
成績は1分2敗だったけど、すばらしい冒険だった。なにより、楽しそうにサッカーをしていた。そして歴史的な勝ち点1をスウェーデンからもぎとったあとの、スタンドと一体となった歓喜のシーンはとても印象的だった。

最後に僕なりのMVPとベスト11などを記しておこう。
MVPはカンナバーロ。ヤツはすごい!ピルロと迷ったけど、ピルロが気持ちよく攻撃できたのも、カンナバーロを中心とした守備があったからだ。

☆GK:ブッフォン(イタリア)、
☆DF:テリー(イングランド)、カンナバーロ(イタリア)、テュラム(フランス)、
☆MF:ピルロ(イタリア)、M・ロドリゲス(アルゼンチン)、ビエラ(フランス)、ジダン(フランス)、
☆FW:C・ロナウド(ポルトガル)、クローゼ(ドイツ)、サビオラ(アルゼンチン)
☆サブ:GKレーマン(ドイツ)、DFラーム(ドイツ)、MFマニシェ(ポルトガル)、FWロナウド(ブラジル)
☆敢闘賞:ドイツ(前評判を覆し、勝ち上がって地元国民に夢を与えた)
☆ベストマッチ:ブラジルVSフランス
☆ベストゴール:アルゼンチンVSセルビアモンテネグロ戦、2点目カンビアッソ

ジダンの一件について一言。
あれは、すぐに「侮辱的な言葉か差別的な言葉」が吐かれたと思った。そうでなきゃあんな強烈な一撃説明つかない。もともと彼はキレやすいタイプで退場が多い選手だけど、あれはサッカーを超えて許せなかった一言があったのではないか。
僕たち平和な国民が軽々に語れない何かがあるのだと思う。だからといってあの行為は許せないし、正当化されることはない。
とても残念な幕切れだった。