RyosEyesの目次(2)へ戻る

 

(75)

走れる日本でクロアチアに勝とう

(Jun.14,2006)

一度はダウンを奪ったものの、終盤に来てスタミナ切れをおこし、最終ラウンドにはロープ際でひたすら打たれまくってダウンしたボクサー。そんな惨めな敗戦だった。堤防が決壊するがごとく、少しの振動で雪崩がおきるがごとく、崩れ落ちていった。
ここまでは想像もしていなかった。今まで見たことのない敗戦だ。切り替えて前を向こうといってもかなり絶望感が支配している。
それはなぜか。メンタル的にここまで崩壊するとはとても思えない。

僕はコンディショニングの問題じゃないかと思っている。日中の試合ならば、暑さに強い日本が有利と思っていたのに、思い切りはぐらかされ
たのは、コンディショニングに失敗しているからではにのか?坪井のけいれんもそんな遠因があるような気がする。
さらに輪をかけたのが、終盤の守備に対する意思統一の問題。明らかにどっちつかずで徹底さが欠如していた。リスクを冒さず引いて守ろうとしたDF陣。もっとラインを高くしてできるだけ中盤で守備をしてカウンターを狙おうとした攻撃陣。簡単に言うと真っ二つに分かれていたように見える。だから自陣エリアのすぐ外に広大な空白地帯を作ってしまった。

運命の分かれ道の2失点目はこの自陣の空白地帯が生んだゴールだった。余裕でアロイージにくさびが入り、余裕でケーヒルに戻され、余裕でケーヒルにシュートを打たせてしまった。
あれだけ押されている状況で1失点目は覚悟の範囲だろう。そこで緊張の糸が切れてしまった。緊張の糸をつなぎ止めていた体力はもう残っていなかったという方が正しいか。だから分水嶺は1失点目と2失点目の間の時間だったと思う。
試合運びの拙さ、ナイーブさ(監督も含めて)が肝心なときに顔を出してしまった。98年予選の、国立での韓国戦にタイムスリップしたみたいだ。
小野の投入が不可思議に見えたのはあの時の秋田投入にどこか似ている。守備の意思統一がどこにあるのか曖昧だったからだ。
タラレバは言うまいと思うが、やっぱり交代が気になった。交代枠2つはボランチの強化と前線の守備の強化だっただろう。
たとえば、中田英の位置はそのままに、俊輔を下げて稲本を入れる。柳沢に代えて巻を入れる。くさびの出所を押さえるのが目的だ。
僕の考えた交代が正解かどうかはタラレバなので答えはない。でも、小野投入よりわかりやすくないか。

川口のミスや攻撃陣のシュート精度の低さなどが直接の敗因かもしれないが、この試合はコンディションと意思統一をもたらす監督の采配に問題があったと思う。あの状況では自分たちだけで判断し修正することは難しい。監督の差が出ちゃったのかなぁ。

そうは言ってもまだ終わったわけじゃない。クロアチアには勝つしかない状況になった。なにがおこるかわからない。だからあきらめちゃいけない。目的ははっきりしている。また同じ時刻のキックオフだから今度こそ相手を先にへばらせよう。
コンディショニングを整えて再スタートだ。中田英が言うように走れない日本は勝てるはずがない。