日本サッカー原型を見た

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日本サッカーのスタイルの原型を見た

(Jun.24,2005)

日本サッカーのスタイルの原型を見た

やればできるじゃないか！
ジーコが就任してようやく、「これが日本サッカーのスタイルだ」と思えるゲームに出会えた。
それもアジアのチームとの親善試合ではなく、タイトルがかかった世界を相手にした試合でだ。そこに価値がある。
僕たちは、コンフェデのギリシャ戦、ブラジル戦の２試合を記憶に刻み、いつでも引き出して見るようにした方がいい。
この２試合を基準にこれからの試合を観ていくことにしよう。

俊輔が弾丸バースデーシュートをブラジルゴールに突き刺したことも興奮したが、それよりも、欧州王者（実質はどうか・・・？）と南米王者を相手に「僕たちはこういうサッカーをします」「このサッカーは世界に通用します」というゲームをしてくれたことがとてもうれしい。
ここのところ日本のゲームはつまらなかった。何がつまらないって、前への圧力が全然感じられないからだ。
「点を取るんだ！」という強い意志、「守り抜くんだ！」という闘う気持ちが感じられなかったからだ。
格下相手に試合運びのうまさで勝つ大人のサッカーはできるようになった。勝負強くもなった。あとはエモーションだ。
前への圧力があるサッカー、それを僕はエモーショナルなサッカーと呼んでいる。
いくらうまくても、ボールを支配していても、エモーションがなければ点は取れない。感動を与えられる試合はできない。
日本にはエモーショナルなサッカーをしてほしいと思っていた。
今回の２試合は、テクニックとコンビネーション、スタミナとクイックネスがチーム全体のエモーションに裏付けられて、ひとつのサッカースタイルになっていたように思う。各選手の個性がうまくかみ合い、引き出し合い、喜びに満ちていたように思う。
ほめすぎてるかな、でも少なくとも兆しは見えた。だから面白かった。
あー、このサッカーでもう一度メキシコとやってほしい！グループリーグ敗退、残念。
このサッカーを熟成させてほしい。完成度を上げてほしい。いつでも見せてほしい。そして、Ｗ杯本番で、日本のサッカーを胸張って披露してほしい。そうすればグループリーグがどんな組分けになろうと、自信を持って戦える気がする。

とはいえ、課題はある。明確に。守備とシュートだ。
シュートはいざというときに冷静に打ってくれ。冷静に打つためにはとにかくたくさん練習してくれ、それしかない。
問題は守備だ。特に中盤と最終ラインとの距離だ。ＤＦラインの高さと言い換えてもいい。
おそらく練習で中田英が口うるさく言っていたのもこの点だろうと思う。ＤＦラインが低いように思う。中盤との距離があいている。
だから、攻めきれずに相手陣でボールをカットされたときに、中盤とＤＦラインの間に、ロナウジーニョやカカ、ロビーニョの進出をあっけなく許していた。
これではＤＦはいつでもズルズルと下がらざるを得ない。最後は体を張ってカウンターを跳ね返さなければならない。
やはり、中盤との連動で相手の攻撃を止めたい。そのためには、ボランチがバランスをとるのと同時に、ＤＦラインがあと数メートル押し上げる必要がある。それをセンターバック２人でやれるかどうかだ。
そう、宮本の勇気とＤＦ陣の呼吸にかかっている。そうすれば、またワンランク上のサッカーになると思う。
これからの一年はフランクフルトとケルンで見せたサッカーを磨いていく一年だ。
できれば、４－４－２でやっていってほしい。そして日本サッカーのスタイルを確立していってほしい。