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光明は4バック、三都州はもうちょっと

光明は4バック、三都州はもうちょっと

日本対コスタリカ戦は妙な試合だった。それが終わった後の感想だ。まず小笠原が6万人の眼前であたかも失格を告げられたかのように早々に森島と交代させられた。実際これで彼は厳しくなってしまったな。
そして柳沢もコンディションが悪かったのか、確かにキレがなく退いた。トルシエの気の短さと言うべきか、判断の速さと言うべきか、会場は指揮官の厳しい態度に動揺が隠せなかった。
内容はといえば、中田英と小野の不在がこうも影響するのかというぐらい、構成力、創造力のない出来だった。前半はドヨーンとしたメリハリの感じられない試合運びになってしまった。
森島が入って少しこなれた後半は三都州も活性化した。後半の最初の15分ぐらい、左サイドでいい形を作ることができていた。森島はコンディションさえよければ計算できる選手だということが証明されたと思う。
ラッキーなゴールで先制し、さあ追加点はきれいな形でと見ている側はさらに身を乗り出したのだけど、後が続かない。結局終盤にスピードでちぎられてあっけなく同点ゴールを許してしまった。すごく上手いんだけど、あまり怖くないという印象のコスタリカだったから、あれ?点とられちゃうの?という感じだった。とても妙な気分だった。
同点ゴールの直前、交代のために服部がすでにピッチ横に準備していた。もちろん三都州に代えて守備を固め、1点を守りきるというシナリオを完成させるためだ。しかし同点ゴールが予期していなかったシナリオを提供してくれた。
4バックの採用だ。予定通り服部を入れたあと間髪を入れず、俊輔を宮本に代えて送り込んだ。波戸と服部がサイドバックにはいり、松田と中田浩がセンターに入った。記憶をたどれば、00年12月の韓国戦(国立)以来トルシエの2度目の4バック採用だ。あの場面で閃いたのだとしたらそのカンをほめたいところだが、いかんせん時間がない。常々オプションとしての4バックが必要だと思っていたが、本番で使えるものにするためにもう一度キリンカップの2試合のどこかで意図的に試してほしい。本当に4バックを使う気があるのかは疑問だけど。
4バックは副産物も生んだ。俊輔の居場所に可能性が見えてきたことだ。トルシエは俊輔の技術を絶賛していながら、あまり使いたがらないようだが、小笠原が厳しくなった今、4バックのオプションがあるなら、1点を取りに行く状況で、中田英と俊輔を2列目に並べ、左のサイドバックに小野を置くなんていう究極の布陣も考えられるのではないかと思う。
三都州に関してだが、新聞では力を出し切ったという論調が多いようだが、僕の感想は別なところにある。
三都州に対する僕の期待は、誰もフォローがない状況で独力で突破を何度も図ることだ。組織的に左サイドを崩すのなら小野もいるし俊輔もいるし名波もいる。三都州でなくてもいいんじゃないかと思っている。彼には1対1の状況を作って全部勝負するというようなプレーを出してほしい。DFにしてみればどんどん勝負してくるアタッカーが一番怖いはずだ。その力が十分あるのに、コンビネーションを重視している素振りが強いのがちょっと不満だ。もちろん監督の要求がそこにあるのだろうから、選手としてはまず指示を実行しようという気持ちは分かるのだが。そういう点で、もうちょっとなーという感想が僕の中にはある。
心配なのは、FW陣の調子がイマイチだということ。追い打ちをかけるように高原が間に合わないかもしれない。これは本当に痛い。森岡よりも痛い。MF陣のサバイバルばかりが注目されているけど、こっちの方の心配が今の関心事だ。

シンジの冒険にも注目

小野がヨーロッパのカップ戦の決勝に出場する。これは中田英のスクデットに続く快挙だ。最高峰のチャンピオンズリーグではなく、各国リーグの3〜6位あたりのチームが出場するトーナメントだから格は下がるかもしれない。それにしたってすばらしい出来事だ。もちろんコンディションが良くなければ出してもらえないのだが、大丈夫だろう。フェイエノールトにおける小野はセントラルMF、日本でいうボランチの位置でがっちりポジションをつかんでいる。チームからの信頼も厚い。相手はドイツのドルトムントだが、恐れる必要はない。ヨーロッパのタイトルを土産に日本代表の冒険に合流してほしい。
W杯の前に是非注目して見たい一戦だ。5月8日スカパー以外に放映するのだろうか。気の利いた放送局はないものか。もちろん僕はスカパー観戦である。

 

 

                  

 

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