トヨタカップについてひとこと、ふたこと
シミュレーションをとられてデルガドが退場になったが、あのシミュレーションは、まさにシミュレーションだった。さわってないもの、明らか。前号で指摘した俊輔のプレーとはぜんぜん違う。
1枚目のカードの時もセコイ行為でもらっている彼は、退場はしかたがないと思う。そんな姑息なプレーで世界一を決める試合を汚さないでくれというのが正直な気持ち。
トヨタカップと言えば、もうその使命を終えているのではないだろうか。日本人選手が海外に進出していくようになり、レベルの高い、迫力のあるコンテンツがTVを通して見られるようになった。各国リーグや、ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ、W杯予選などとくらべると、ハードスケジュールの中遙か遠い日本に集合して行う試合は、どうしても落ちてしまうような気がする。
やってる側も、ホントはこんな遠くまで来たくないな、という気持ちがどこかにあるのではないだろうか。
世界クラブ選手権が組織されようとしている時代に、どこにトヨタカップの価値を見いだせばいいのかわからない。
シーズン終了後に大リーグのチームが来て、7〜8試合やって帰っていく、野球に似てきてしまうのではと僕は危惧している。
スタジアムの雰囲気というものが、サッカーの試合の趨勢に大きく左右するものだと思うが、是が非でもと肩入れするチームがないまま国立に足を運んでいる人たちが大半なら、世界チャンピオンを決する沸騰した一晩にはなり得ないのは当然だ。優勝したチームがいれば、それを爆発的な歓喜で迎えるサポーターがいるはず。でも、あーバイエルンが優勝か、すごかったね、で帰っていってしまう人たちばっかりだったら、やっている側も拍子抜けだろう。
開催サイドとしては、大きな集客イベントとして位置づけているのだろうが、その情熱をJリーグに振り向けてもらった方がいいような気がする。
アマチュアの日本リーグしかなくて、代表の力もぜんぜんで、海外の試合もTVで見られなくてという時代に本物を見られる感動を与えてもらったことに最大限の感謝の意を表し、次のステップに踏み出してはどうだろうか。
トヨタにスポンサードしてほしいのは、アジア・チャンピオンズ・リーグだ。現在やっているけれど、システムの不明瞭さや、メディアの取り上げの少なさもあって、恐ろしく認知度が低い。
これを、南米のリベルタドーレス杯、欧州のチャンピオンズ・リーグと同じように確固たる組織にし、アジアのレベルを向上させることに寄与してほしい。
たとえば、極東ブロックでは、各国のリーグ戦上位3チームが出場し、グループリーグを戦い、3チームぐらいの代表を決め、オールアジアのチャンピオンを決めるトーナメントを一極開催で実施する。
これもTVでどんどん放映する。そうやってサッカー文化が根付いていくような気がするんだけど。
なんか例外の試合に見えてしまうトヨタカップは発展的解消で、世界クラブ選手権にその使命を継いでもらい、アジア・チャンピオンズ・リーグでJリーグのチームが優勝し、世界クラブ選手権をめざす。それをトヨタが支えている。
この構図がいいな、僕は。
|