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財前がJ1にやってくる & シミュレーションという反則

 
財前がJ1にやってくる

J1からJ2への降格争いは我が横浜まで巻き込まれて、最終節に持ち込まれてしまった。まあ何とかなるだろうという気がしている。一方一足早くJ2からJ1への昇格は2チームが決定した。京都と仙台だ。大物がいなくなってかえってまとまりがでたらしい京都の昇格も喜ばしいことだが、仙台の昇格はそれにも増して大変喜ばしいことだ。東北のチームがJ1に登場したということはJリーグにとって画期的なことだろう。
でも個人的には、仙台の10番財前宣之がとうとうJ1にやってきたことがうれしい。自身の決勝ゴールで京都を破り昇格を決めた財前の試合後のインタビューは「やっと自分の場所にたどり着いた」という感慨深げな表情が印象的だった。
1993年U-17ワールドユース決勝大会が日本で開かれた。開催国として出場した日本は、FIFA主催の世界大会で初めてグループリーグを突破し、ベスト8に進んだ。
ガーナだったかカメルーンだったかアフリカのチームに負けて敗退したが、そのチームの中心が財前だった。1976年生まれの選手を主体にしたチームには中田英寿、松田直樹、船越勇蔵(現湘南)らがいた。当時の中田曰く、「財前君が一番うまい」
プレースキッカーとして精度の高いボールを送り、巧みなボディコントロールでドリブルもうまい。次世代のスター候補だった。読売ユースを出たあとイタリアのラッツィオに練習生として参加し、場合によってはそのまま契約かというところまでいったはずだ。
しかし、怪我が彼のサッカー人生を狂わせた。膝の靱帯だ。小倉もそうだったが、膝の靱帯を断裂した選手の復活はなかなか難しい。財前もトップフォームに戻らず苦悩したようだ。
そんなとき拾ってくれたのが仙台だった。仙台は長期的なチーム強化策で年ごとに順位を上げ、今季の快進撃につなげた。
その仙台の成長とともに自身も復活してきたのが財前というわけだ。そのストーリー、彼のスキルフルなプレースタイル、そして浦和に匹敵するかと思えるほどの地元サポーターの熱い支援。仙台というチームは魅力のあるチームだ。そして、来季、躍動感あふれる仙台サッカーの中心として活躍する財前が楽しみだ。移籍しなければだけど・・・。

シミュレーションという反則

降格争いに巻き込まれてしまったマリノスが、ガンバとの試合で2−1で勝利し、首の皮1枚つなげた。最終節の状況に関しては3チームの中では一番有利な状況である。ガンバ戦で勝負を決めたのは他でもない俊輔だった。1年ぶりのFK直接弾とCKのアシストだった。プレー内容もトップフォームに戻ってきたようだ。代表サバイバルに生き残ってほしいと切に願う。
さて、最終節俊輔はピッチに立てない。なぜなら累積警告3枚により出場停止になってしまったからだ。
前半14分にエリア右奥にドリブルで進入した彼はガンバDF山口との身体の入れ合いで倒れた。PKかと思った瞬間にカードを出されたのは俊輔だった。「俺は故意に倒れたりしないよ」と訴える彼の願いも通じず次の試合の出場停止が決まってしまった。
大事な試合にエースを欠くことになってしまったチームの損失も大きいが、ファンにとっても悲しい話だ。ひょっとするとシーズンオフにはヨーロッパに行っちゃうかもしれない選手は1分でも1秒でも観ていたいものだ。なぜその機会を奪うのか。危険なプレーをしたわけでもない。暴言を吐いたわけでもない。ひょっとするとシミュレーションじゃなかったかもしれない。
審判もっとよく見ろよ。そんな声が聞こえてきそうだ。かく言う僕がそう強く思っている。
PKの笛を吹くのが難しいなら、反則はなかったとして流せばいい。
常々思うのは反則をもらおうとして故意に倒れるシミュレーションという反則は、非常にデリケートなものだということだ。実際に身体が触れており、どっちともとれない状況で、倒れた方がカードをもらうケースがとても目に付く。
でも、PKの判定でも、審判が違えばシミュレーションをとっていたかもしれない、なんていうシーンはいっぱいある。そんな微妙なプレーに全部黄色い紙を出すのか。
明らかにダイブしているプレーならそれでも紙を出してもいいかもしれない。反則ほしさに自分から転んじゃっているのだから、その精神や浅ましいと言わざるを得ない。でも俊輔のプレーはどっちともとれなかった。ならば流せばいいじゃないかと思うのである。
PKの笛を吹かないなら逆に倒れた選手の反則、イコール警告ではあまりに杓子定規ではなかろうか。
シミュレーションの反則をとることは、「おまえは嘘つきだ」という警告になるわけで、かなり選手にとってはカチンとくるもののはずだ。もちろん欺く行為は許されないにしろ、どっちともとれないようなプレーは流せばいいと思う。あんまり目くじら立てていると、審判と選手の関係がぎくしゃくしすぎるような気がしていやだ。
現に、マリノス対ガンバ戦は14分の一件以降審判の判定基準もバラバラだったこともあり、けっこう怪しげな雰囲気が漂ったゲームになってしまった。実際ラザロニ監督は激昂して退席処分になってしまった。
行き着くところ、審判が余裕を持ってゲームをコントロールできているかどうかの話になってしまうのだが、杓子定規ではなく臨機応変に、毅然としていながら柔軟な審判のパフォーマンスを望みたい。
そういう審判て日本に何人ぐらいいるのかな。
 

 

                  

 

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