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いいレッスンになったアフリカ勢との2試合

 いいレッスンになったアフリカ勢との2試合

セネガル戦を見て、なんちゅーこっちゃ、と思った。フランス戦に0−5で敗れたときの深刻さを覚えた。それは、相手に対して恐れおののく日本代表の姿だった。序盤に中田浩が苦し紛れのバックパスをしたところをかっさらわれて、シュートまでもっていかれたプレーが、端緒だったような気がする。
あのプレー以後、中田浩の表情は生気を失い、言葉は悪いが「チキン」だった。そしてそれが伝染病のように、チームに蔓延していった。セネガル攻撃陣のドリブルに腰が引け、ずるずると下がり、気がつくとエリアの中。というシーンが何度もあった。どうしてこんな試合になっちゃうの、という感じだった。
しかし、ナイジェリア戦はこれを克服していた。セネガル戦の後半一時的に前からプレスをかけて積極的な守備ができていた時間帯があったが、ナイジェリア戦では、これがほぼ90分できていた。
やっぱり慣れなのだろうか。思えば、このチームはアフリカ勢ということでいえば、エジプトとカメルーンとしかやったことがない。
両方とも日本での試合だったし、エジプトは純粋なブラックアフリカンではないチーム。またカメルーンはコンディション不足だったし、あの試合は、カップ戦の過程でそれまでの勢いを日本が持っていた。
敵地のようなフランスで、初のW杯出場にモチベーションも高く、若くて勢いのあるセネガルというチームとあたったことが、日本にいい経験を与えてくれたと見た方が良さそうだ。
本当のアフリカ選手の怖さ、うまさ、強さ、やりにくさを感じた試合だったんじゃないだろうか。
そのアフリカ勢との戦いで学習効果が現れたナイジェリア戦は、「チキン」が消えていて、積極的な守備とリズムの良い攻撃が見られた。だからよけいに勝ちたかった。逃げ切るというサッカーを見たかった。アガホワに入れられた同点ゴールは、相手の身体能力が高かったからじゃなく、こちらのミスだ。
松田はとても成長したと思う。スライディング技術は格段にうまくなっているし、1対1の応対も強さを増している。でも、あのプレーのような軽いプレーがまだ時々ある。そしてそれがあの試合では致命傷になってしまった。
相手のロングボールに背走しながらも先に追いついていたので、併走していた宮本(だと思う)に右足のアウトサイドで軽くパスしようとしたわけだ。ミートし損なったボールは、見事にアガホワへのパスになってしまった。デンジャラスゾーンでのミスはホントになくしてほしい。

柳沢は好調だ。彼のいいところは、エリアによってプレーにメリハリがつくところと動きだしの良さだ。
中盤に顔を出したときは、簡単にMFにはたいて、次のポジションへパスアンドゴーをする。サイドに開いたときは見方の上がりを待つキープができる。そしてゴール前では、相手DFより一瞬早く好ポジションをとろうとする。それが結びついたのがナイジェリア戦の先制点だった。3人を抜いて強引にシュートへ持っていったプレーも見せた。彼は新たなステージに一歩上がりかけているように見える。
来年の攻撃の軸は柳沢じゃないかという予感がする。高原も捨てがたいけどね。
西澤は、今の状態では厳しいな。周りとの呼吸がない。かといってひとりで打開できるわけでもない。中途半端だ。コンディション不足なのか、試合感不足なのか、それとも森島がいて初めて真価を発揮できる選手なのか。城のようにならなけりゃいいけどなんて余計な心配してしまう。
広山はどうなんだろう。いいような気もするし物足りないような気もするし。評価に困るな。攻めに行くときのオプションという感じかな。

話は変わるけど、セネガルっていいチームだね。モロッコ、エジプトを押しのけて予選を突破してきたのは偶然じゃないよ。個人技とスピード、パワーはアフリカ勢なら当たり前だけど、全体的な意思統一ができているチームだった。サイドから攻めていくというのが徹底されていて、独りよがりなプレーはほとんどなかった。来年の6月、セネガルとあたるチームは要注意だね。

 

              

 

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