RyosEyesの目次へ戻る

 

(42)

中田英寿と移籍諸説

 中田英寿と移籍諸説
中田がセリエAの歴史に名を刻んだことは僕たちをとてもハッピーにさせてくれた。めでたしめでたしと言ったところだ。
それにしても、中田はサッカー選手としてなし得る最高地点の仲間入りを果たしたと言っていいだろうな。
思い出すのは、コンフェデの時の中田。カナダ戦の試合前、両チームの握手の時、カナダの選手は中田と握手するときだけ、表情が変わっていた。11人全員が。それはアイドルを前にしたときのちょっとした昂揚が読みとれるものだった。
ブラジル戦。ピッチに散らばった22人の選手の中で、明らかに中田だけが格上だった。ブラジル代表のどの選手よりも貫禄があった。プレーもそうだ。振る舞いも、作る表情も、インターナショナルクラスの選手が持つ余裕のようなものを一人放っていた。

さて、オフシーズンに入って移籍情報が盛況だ。やれジダンがレアルに行くだの、ビエラがユーベに行くだの、ルイ・コスタはミランだの。そして中田はパルマに決定という情報もあれば、いやアーセナルのベンゲルが口説いたという情報もある。
でもどれも確定じゃない。大物で、今決まっているのは、テュラムがパルマからユーベに行くことが決まったぐらい。今噂に上っている移籍動向も7月中旬から下旬になると決まってくるだろう。だいたい各クラブ7月の下旬からキャンプが始まるからだ。
セリエA移籍市場の話題の中心は中田だ。イタリアの新聞がそう言っている。
そして中田はどこへ行くか。やっぱりパルマだろうな。と僕は見ている。
まず監督(ウリビエリ)が中田にご執心であること。会長もパルマラット社(乳製品、スナック菓子の世界的メーカー)のアジア進出の切り札として期待しているということ。パルマの街が、とても住みやすくサポーターも温かい(らしい)こと。チャンピオンズリーグに出場できること。イタリアであること。スクデットを狙えるいわゆるビッグ7であること。そして、レギュラーの地位が確保できそうなこと(これが一番大事)。諸々の条件が中田にとって好条件だ。本人にすれば、パルマがいいと思っているだろうな。

普段の力を出すということの難しさ

ワールドユースはグループリーグを突破できなかった。目標は達成できなかったけれど、3試合目のチェコ戦のサッカーはすばらしかった。こんなチームだったのか、というぐらいの驚きだった。
流麗なパスワークは早くて正確。ピッチをワイドに使って相手の守備をまともに受けないクレバーさ。中盤で数的優位を作ってボールを奪う運動量とポジションバランス。A代表が作り上げようとしているサッカーと、システムは違えど方向は同じだった。そして攻撃の時の技術の多彩さは小野、稲本たちの99年組を凌ぐほどのものだった。
しかし、そのサッカーを1,2試合目は披露できなかった。
普段の力を出すということの難しさをこれほど思い知らされた大会も珍しい。トルシエが常々、コミュニケーションの大切さを説き、自己主張のできない選手は選ばないという姿勢を示していたのもこういうところが背景にあるのではないかと思った。
本番で、戦術を全うしようとするあまり、緊張したり、慎重になりすぎたりでは困る。戦術は練習で体が覚えているはず。ならば本番で大切なことは、あたりまえのようだが、思いっきりやること。積極的にやること。失敗を恐れないこと。トルシエは、上手いのに普段から積極的でない、自己主張の足りない選手は本番で力を発揮できないと考えているのだろう。
安っぽい日本人論にするつもりはないのだが、どうしても我が国に流れている血が、ややそういう傾向があるのではないかと思わされてしまう。それが情けない。
きっとマラドーナもジダンも中田も同じ道を通っているはず。肝心なときに自分の力を発揮できず、悔いの残った試合というのを若いときに必ず経験しているはずだ。
当たり前のようで、なかなかできないこと。それは、普段の力を出すということだ。
自分の力に自信を持つということだ。
最近日本サッカーのスタイルというのが形を見せつつある。とは言っても列強から比べるとまだまだ経験が足りない。もっともっと多くの経験を積んで、普段の日本サッカーのスタイルどんなときでも自信を持って表現できる、そういう代表になって欲しい。


 

 

              

 

                       Top Page    ホームに戻ります