とうとう間に合った俊輔
今日はどうしても俊輔のことに触れたい。
壮行試合の俊輔はキレまくりでした。気持ちいいぐらい。
彼がボールを持つと、何かやってくれそうという空気が漂うのは誰もが感じるところでしたが、この2試合に関しては、彼の絡みが攻撃の幅と深さ、キレ、鋭さそして意外性を生み、完全にプレーメーカーになっていました。
俊輔を高校3年時からウォッチしてきた僕としては、「とうとうここまで来たか」という感慨がとても強いです。
ゲームを俯瞰して見ながら、勝負どころはどこで、自分がどうすべきかを的確に判断して、それをしっかりピッチ上で表現できる選手という意味では、日本選手の中では彼はピカイチでしょう。何かを一生懸命考えてプレーしているのが手に取るようにわかる選手です。
今回の2試合で特に目立った動きは、ボールを追い越して(ウェーブと言うらしい)前を向いてボールをもらおうとする動きです。
最も如実に出たシーンが、クェート戦の先制点です。見事な3人目の動きであり、ヒデとの絡みがこのチームの攻撃の中心であるということを印象づけたものでした。
他にも、モロッコ戦の前半、柳沢に入ったクサビにいち早く反応して左サイドを破ったシーン、後半終了間際に、本山が左からドリブルで切れ込んだあとヒデがオーバーラップし、エリア内に進入したところをさらにオーバーラップして低いクロスを高原に合わせたシーンがありました。
あのような動きが他の選手にも頻繁に出てくると(それもサイドで)、日本の攻撃は厚みと迫力のあるものになるでしょう。
いずれにしても本番での俊輔には大いに暴れてほしい。精一杯自分が表現したいことをやってほしい。
彼が生き生きと楽しそうにプレーした試合は必ず結果がついてくると思います。
それにしても、ペルージャ移籍はやめてほしい。無いとは思うけど。
それに海外には2002年以降に行ってほしい。
もっと国内で見ていたいから。
五輪代表の柔軟性にビックリ
それにしても、いまだかつてこれだけサポーターに支持され、期待感をもたれている代表はないでしょう。
チームの柔軟性がすごく出てきたうえに、最後にきてヒデと俊輔の指揮による(本山のキレ味もすごいね)、気持ちのいい攻撃サッカーのスタイルを見いだせたからでしょう。トルシエ版3−5−2が基本だけれど、そこに3−6−1が新たに加わった。相手によって戦い方を変えられるオプションがこれほど見事にはまる例はあまりないでしょう。
そして、選手が交代しても力が落ちない。
トルシエが、40人の代表候補がいて、4,5種類のチームが作れると言うのもうなずけます。
ここへ来てのこの多様性、柔軟性はもちろんトルシエの指導のたまものなのでしょうが、選手たちの自覚とプレーの熟成が大きいでしょう。メンバー全員が1人の例外もなく、集団と個をうまく折り合いをつけているように見受けられます(西が追いついてないかな)。
もちろんきらめく個性は失われていない。どれがベストメンバーかと問われたときに、好みによっていろいろな構成が考えられる代表になりました。
ちょっと前までは、不動のベストメンバーというよりも他に選択肢がないメンバーという感じでしたから。
アトランタの時は、強い個性が売りでは合ったものの、それが戦い方の中でうまく消化できていなかったと思います。日本サッカーの歴史の流れの中で、彼らはあれが精一杯だったと見るのが妥当でしょう。
今回は間違いなくアトランタからステップアップしています。
フラット3の弱点や、FW陣に得点がないなどという不安材料が指摘されていますが、そんなことはわかっています。
むしろ、なんと贅沢な悩みだろうと思います。だってこんなに前がかりに、ワクワクして観ることができるスペクタクルな代表を、僕たちは初めて手にしたのですから。
勝負は時の運でもあります。だから結果がどうなるかは神のみぞ知るです。メダルなんてそう簡単にとれない。でも少なくとも強い期待感と大きな緊張感を持って応援できることがとても幸せだと思います。
98年11月のアルゼンチン戦からスタートした冒険の結末がもうすぐ迫っています。
さあ、祈りましょう。18人が精一杯自分の仕事を全うし、思い切り自分を表現できることを。
|