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EURO2000総括

(July 5, 2000)

        
 フランスの見事な逆転勝ちでEURO2000は幕を閉じました。
多くの人がオランダ対フランスの決勝が観たかったのではないでしょうか。ボクもその1人です。
ユーゴ戦のオランダを見たら、あの破壊的なサッカーで優勝してほしいと思いますよね。
サッカーの調子の波というのは難しいものです。あれだけの内容を披露していても、負けるときはあるということです。ま、PKはずしすぎですけどね。6本中5本をはずしたというのは前代未聞ではないでしょうか。

さて、EURO2000をボクなりに総括してみたいと思います。
まず全体的な印象ですが、96年イングランド大会と比べると、攻撃的なチームが多かったのと、グループによる技術とスピードというのが強調されていたような気がします。
フランスは、中盤でワンツーを駆使して組み立て、アンリらのスピードあるFWにボールを配球していました。
ポルトガルは、フィーゴとルイ・コスタを中心として、3角形がピッチの上を移動しているかのようなパスワークを見せていました。
チェコはフランスをもっと速くしたような感じで、特にネドベドの手のつけられないスピード突破はグループリーグで敗退させるのはもったいなかったです。チェコに足りなかったのは、点の取れない巨人コラーに代わるスキルフルなFWでした。
オランダは、ダービッツの信じられない運動量とゼンデン、オフェルマルスの両翼の突破力、そしてベルカンプとクライファートの絶妙な縦の関係でダイナミックな攻撃を作っていました。
この4チームが今大会で印象に残ったチームです。特にポルトガルは前号でも書きましたが、ボクのお気に入りでした。ただ、フランスほどの成熟度、イタリアほどのリアリズムを持ち合わせなかったため、最後は自分たちのプレーをさせてもらえませんでした。
そういう意味ではオランダも同じです(彼らには運が決定的に欠けていた)。
そう考えると、決勝を戦った、2チームは双方タイプは違えども、成熟度、戦術の柔軟性で他チームを凌いでいたということが言えます。つまり、技術だけ、戦術だけ、タレントだけでは不足だということです。
簡単にいえば、チームの団結力、一体感、11人の犠牲的精神があって初めて決勝を戦えるのでしょう。

ベスト11&ベスト3マッチ
では、ベスト11を選んでみたいと思います。ボクの好みが多分に入りますので、違う意見があったらどんどんお知らせください。システムは3−4−3になりました。
GK=オランダ戦の活躍だけでトルド(イタリア)を選びます。
DFカンナバーロ(イタリア)ネスタ(イタリア)のコンビと、衰えを指摘されていたにもかかわらず(実はボクもVol.12で指摘している。失礼しました)見事にこれを払拭したデサイー(フランス)の3人を選びます。
今大会で彼らの守備能力は一級品であることを証明しました。
MF=ボランチはダービッツ(オランダ)ビエイラ(フランス)。ダービッツは技術、スピード、スタミナ、パワーを兼ね備えたスーパーボランチです。戦術眼をもっと磨いて2002年には伝説の選手になってほしいと思っています。ビエイラは、フランスの中盤の守備のキーマンになっていました。ポルトガルの技術を封じた功績は大きいです。
攻撃的MFにはルイ・コスタ(ポルトガル)ジダン(フランス)。まあ誰も文句ないでしょう。言わずと知れたセリエAのアーティストコンビです。
FW=ここは悩みましたが、左にアンリ(フランス)、右にフィーゴ(ポルトガル)、センターにクライファート(オランダ)を選びます。
今大会のアンリはとても調子がよかった。自信を持ってプレーしていました。フィーゴはもう一花咲かせてほしい。そしてクライファート。彼は好きな選手なんです。あのしなやかな身のこなしのポストプレー、正確な技術、的確なポジショニング。典型的なセンターフォワードです。

サブ=入れたいけれどはじかれちゃった惜しい選手をサブとして選びます。GKはバルテズ(フランス)。DFにテュラム(フランス;スペイン戦は手こずったけど)。MFはコクー(オランダ;この人ホント使い勝手がいい)とネドベド(チェコ)。FWはラウール(スペイン;相棒のレベルが高ければなー)です。

ベスト3マッチ(内容重視&ボクの好み)は、まず、
両チームの特徴が見事にゲームに反映され、かつ展開も劇的だったポルトガル対イングランド(3−2)
一方的だったけどオランダの攻撃のすばらしさが印象的な準決勝のオランダ対ユーゴスラビア(6−1)
そして、フランスの特徴が最も鮮やかにでていた準々決勝のフランス対スペイン(2−1)です。この試合は、ジダンのFK、フランスのパスワークとシビアゾーンでの守備の堅さが見事に調和していたゲームだと思います。
ラウールのPK失敗も終了間際だっただけに劇的な印象を残しました。

特にMVPは選びません。候補は決勝を戦った中から、アンリ、ビエイラ、カンナバーロ、トルドそしてジダン。ボクが選ぶとしたらこのあたりなんですが、どれか1人に絞れないので、みなさんにお任せします。

以上、独断と偏見に満ちたEURO2000の総括でした。



 

       

       

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