のびのびプレーが意味すること
ジャマイカ戦は圧勝でした。98年当時より力が落ちたジャマイカと、着々と進歩している日本との差がそのままでた試合でした。
トルシエも言っているけれど、モロッコ遠征の収穫は約束事の上に個性が偏りなく表現できたことでしょう。
去年の今頃、五輪代表で俊輔は与えられた仕事と自分の個性の表現とのバランスに苦悩していました。その苦悩があったからこそ、今ではトルシエ戦術と自分のプレーとの折り合いをうまくつけてのびのびとプレーしてます。そして俊輔と同じ道をたどり、自分の個性をトルシエ戦術の中で発揮し始めた選手が多くでてきました。
特に三浦淳宏は右でもやれると確信できました(本人の違和感がなくなれば一層強力な武器になる)。
選手たちは、2つ以上のポジションを代表でこなせるようになり(それも納得して)、かつどのポジションでも自分の個性を発揮するための方法論を見つけ始めたのではないでしょうか。だからこそ伸び伸びとプレーしているように見えたのだと思います。だから試合中にシステムが変わってもあわてないで対応できるのです。
そんな雰囲気が感じられた2試合でした。2002年はこの延長線上にあってほしいと心から思います。たった今本物かというと、まだわかりません。しかし本物の日本のスタイルを示すことができるチームに仕上がりそうな予感がします。
ハーモニーの左サイドと縦勝負の右サイド
モロッコでの2試合を通じて、日本の攻撃のバリエーションがはっきりしてきました。
左サイドはこれまでもコンビネーションの良さで可能性に満ちていたのですが、今回名波がボランチにはいることでより鮮明に形が見えました。俊輔の前方にはわざとスペースを空けておくのがポイントです。その後方で、名波、俊輔、ヒデの3人が変幻自在のコンビネーションを見せます。特に、何度かヒデが左サイドのスペースへ飛び出すようになり、このエリアの活性度は一気に上がりました(ジャマイカ戦の4点目はまさにこの形。個人的にはこの得点がモロッコシリーズの中で一番好きです)。
左サイドは日本の攻撃の作戦室といった場所です。この場所は中田浩二が最後尾からオーバーラップして精度の高いクロスをあげることもできます。
さて右サイドです。左サイドで作り、素早いサイドチェンジで右サイドの大きなスペースを突破するというのは以前からトライされてきたことですが、これまでは右サイドの人材(主に、望月、伊東、明神、彼らは縦に強いタイプではない)が1対1の勝負になかなかでられなくて歯がゆい思いをしてきました。ところが、淳宏が右サイドで結果を出したことで一気に展望が開けました。個性の違う左右がバランスするという点で重要です。
彼は縦に強い選手です。ドリブルを得意としています。守備もできます。トルシエジャパンのプランの中で大きな課題となっていたポジションに人材を得たという感じです。
そして淳宏は元々左サイドですから、時には左の俊輔とポジションチェンジをしたっていいのです。
市川が彼を脅かすまではしばらく、淳宏が右サイドを支配してもらいたいです。ボクとしては中西(ジェフ)も試してほしいと思います。
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