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魔が差したキャプテン・キーン マンU連覇の夢消える

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2000,Apr.21)

        
 
欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝マンチェスターユナイテッド(マンU)対レアルマドリード(レアル)の第2戦を見ました。
結果は2−3でホームのマンUが敗れ、この大会の2連覇の夢も消えてしまいました。
見ていない人のためにかいつまんで試合を振り返ります。
この試合を決定的にしたシーンは2回ありました。
1回目の重要なシーンは前半の半ば(30分頃だったかな)、あろう事かキャプテンのキーンがオウンゴール(OG)を献上してしまったのです。
マンU陣内左サイドからグラウンダーのクロスが入るのですが、コースが甘く、GKが難なくキャッチできるボールだったのですが、ニアサイドに猛然とカバーに入ったキーンがクリアし損ねて、味方ゴールに蹴り込んでしまいました。
この時間帯の1失点ぐらい何でもないはずのマンUなのですが、キーンのOGだったということが大きな負担となってあとでのしかかってくるのです。
2回目の重要なシーンは後半15分ぐらいだったかカウンターでラウルが冷静に蹴り込んだ2点目のシーンです。ここでは、対応したマンUのDFシルベストルの守備のまずさがでてしまいました。ラウル得意の左足を押さえず、シュートコースを作ってしまったのです。
この2点目はききました。
レアルの2点目までの、マンUの攻撃は見事でした。ボール保持者に対して3,4人が連動して動くため、選択肢がいくつもでき何度もフィニッシュに至っていたのです。マンUとしては自分たちの時間だった約60分間で得点できないまま2失点目を食らったのが致命傷になったのです。
また、キーンがOGを献上したことにより、精神的支柱が焦りをもってプレーし続けなければならなくなったのが反撃が空回りし、精度を欠く要因になってしまったと見ました。
0−3になってからの鬼神のような怒濤の攻撃も2点を返すのがやっとでした。
レアルの試合運びのうまさが光っていたのはいうまでもありません。したたかというのはこういうことを言うのでしょう。

勝者に祝福の、敗者にねぎらいのスタンディングオベーション

この試合で、改めてイングランドのサッカーのすばらしさ、否、サッカー文化のすばらしさを感じました。
それは観衆の姿勢、選手の姿勢、そしてそれらが合体したスタジアムの一体感です。
イングランドといえばフーリガンという言葉がすぐでてきてしまいますが、それはごく一部の粗暴者のことです。ほとんどのファンは自分のチームを信じ、熱い声援を送り、すべての結果を敬意を払って受け入れる、すばらしいメンタリティをもった人々なのです。
オールドトラフォードの90%を埋め尽くしたマンUのファンはすばらしかった。
OGを献上したことに責任を感じてキーンは何度もゴールに迫りました。0−3になって準決勝に勝ち上がるためには4点必要になってもチームはあきらめずにゴールに向かいました。
コッリーナ主審が2度までもPK(レアル側のハンド)を取らなかったことに対して選手たちは見苦しい抗議をいっさいしませんでした。これら選手たちのパフォーマンスを全面的にサポートし、勇気を与えていたのがオールドトラフォードの観衆でした。
試合終了後、彼らはスタンディングオベーションによって勝者に祝福の、敗者にねぎらいの拍手を送ったのです。彼らの力が2点返させたのだな、と遙か遠い日本でTVを通して感じることができたのです。
はるばるスペインからやってきたレアルのサポーターは2倍の幸福感を味わったのではないでしょうか。
観衆が選手を育て、チームを育て、ゲームが観衆を育てていくのでしょう。
Jリーグでこういうシーンに巡り会えるのはいつのことなのでしょうか。




 

       

 

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