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ネドベドの涙

(May.23,2003)

ネドベドの涙
チャンピオンズ・リーグはユベントス対ミランの決勝ということになった。イタリア対決をオールド・トラフォードでやるわけだけど、客入るのかなぁ、なんて心配になってしまう。
さて、準決勝のユベントス対レアル・マドリード第2戦はユベントスの完勝だったわけだけど、このゲームのポイントは、ユベントスにはダービッツがいて、レアルにはマケレレがいなかった。ユベントスのキーマン・ネドベドとデル・ピエロが絶好調で、レアルのキーマン・フィーゴとラウールが絶不調だったということにつきるような気がする。ユベントスは全員のコンディションをこの試合に合わせてきたようにさえ思えた。リーグ戦ではお目にかかれないほどの積極的な試合運びだった。レアルの守備陣はスピードに弱い(特にイエロ)。そこをネドベドが思いっきり蹂躙していった。レアルにしてみればマケレレの不在は本当にいたかったと思う。ダービッツがレアルの中盤を次から次へとつぶしていたのが際だってしまった。
中盤を制圧されるレアルというのはあまり見ない。ユベントスが好調だったせいもあるけど、マケレレがいなかったことがもっとも大きな敗因なのではないかな。センターバック2人と右サイドのサルガドと中盤の底にいるマケレレの4人で守って、残りの6人はみんな攻撃みたいなサッカーだから、マケレレがいないと最終ラインは丸裸の状態だってことだ。
さらにフィーゴの不調はかわいそうなぐらいだった。PKを蹴る直前の顔がアップになったが、別な選手が声をかけたらすぐ譲っちゃいそうなぐらい弱気な顔してた。何であんな顔してる選手に蹴らせるのかな。案の定、彼のキックはコース、強さとも甘々のへなちょこキックになってしまった。試合の趨勢を決めたPK失敗だった。
そしてネドベドだ。ラツィオ時代から好きな選手だったが、彼は今フットボーラーとしてのピークなのではないか。番組でも紹介していたが、確かに彼はバロン・ドール(欧州最優秀選手賞)の第1候補だね。そのネドベドが決勝に出られない。累積警告で出場停止だ。チェコという国に生まれた以上、欧州選手権やW杯を獲得するのはかなり難しい。とすると、彼にとってのサッカー人生のハイライトはチャンピオンズ・リーグの決勝に立ち、自らの力でトロフィーを掲げることだったはずだ。思わず後方からタックルしてしまい、しまったと思った次の瞬間主審が黄色い紙をかざすのを見て、顔を覆い膝からくずおれてしまった。自分で招いた結果だとはいえ、見ている側も「大目に見てくれ」と、思わず祈った。
試合終了後一人で場内を一周し、涙を拭いながらサポーターに挨拶しているネドベドの姿は潔く、気持ちのいい態度だった。彼の大きな人格を良く表しているシーンだったように思う。日本の選手もこういう大人の態度をとれるようになってほしいなぁ。
 

 

                  

 

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