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W杯総括
(July.2,2002)

ロナウド!リバウド!ロナウジーニョ!
組織対個人技の戦いといわれた決勝、ドイツ対ブラジルは実力国同士の決戦らしくイージーミスが少なく、緊迫感があり、見応えのある好ゲームだった。ドイツが積極的だったのが良かった。精力的な中盤のチェックとクリーンで深い芸術的なタックルで中盤を制圧したドイツが善戦のノイビルを起点として良く攻め込んでいた。ブラジルは対照的に慎重だった。受けて立っていたという言い方もできるかもしれない。
でも、決定機を何度も作ったのはブラジルだった。ブラジルの決定機はイマジネーションとテクニックが凝縮されたわくわくするようなシーンだ。さすがブラジルとうならせた。
ただ試合全体をブラジルが制圧したかというと疑問。カウンター狙いというと言いすぎだが、ブラジルのブラジルたるゆえんである、ボールを保持し続け、試合を支配し続け、チャンスを作り続け、ゴールを重ねるというものではなかった。そういう試合をしようとしていなかった。
ただ、中盤から後ろ(彼らはまだ若い、4年後には成熟した姿を見せるかもしれない)にブラジル的成熟感がない代わりに、3Rはすごかった。「ここ」というときに最高級のプレーを見せてくれた。それだけでも決勝の価値があったのではないだろうか。
3Rへのボール供給をできるだけ少なくするために、積極的にプレスをかけてきたドイツを称えたい。そのドイツの姿勢が決勝を見応えのあるものにし、ロナウドの力をより光らせたような気がしてならない。

4年間の橋渡し役・コッリーナ
いま世界最高の主審であるコッリーナが笛を吹いたのは決勝が3試合目だ。イングランド対アルゼンチンでは、ベッカムが4年前のペナルティを渾身のPKでぬぐい去った。決勝のドイツ対ブラジルではロナウドが4年前のトラウマを世界タイトルと得点王という最高の形で葬り去った。3試合のうち2試合でコッリーナは4年前を清算しようとする2人のスターの情熱を手助けする形になった。もう1試合は日本対トルコだ。この試合で、コッリーナは日本に新しい4年間の宿題を出した。その宿題とは「ほとばしるゴールへの情熱と尽きることのない勝利への執着心」だ。
今大会の看板カード2つとならんで日本対トルコをコッリーナが裁いたということは何かの因縁なのかもしれない。戯れ言だと笑う声が聞こえてくるが、根拠なくそう思うことで4年後の我が日本代表の躍進を期している自分がいる。

借りを作ったフランス、アルゼンチン
64試合を通じて大会の内容はどうだったのか。エモーショナルなゲームはいくつかあった。感動の同点劇、逆転劇が印象に残る。でも全体的にどうだったか。攻撃的だったという印象がなくもないが、それは第1ラウンドだけで、実はゴールに関しては全体的に低調だったような気がする。特に第2ラウンドはゴールが少ないんじゃないか?90年イタリア大会よりはましだろうが、前2回に比べて平均得点は低いだろうと思う。目を見張るようなゴールというのが少なかったような気がする。誰にも真似できない、ファンタスティックなゴールだ。その一番の要因はやはりフランス、アルゼンチンの早期敗退だ。
大会全体のレベルが高くないという印象が拭えないのは、これから本番という第2ラウンドに彼らが不在だったからだ。だからといって韓国、セネガル、アメリカ、トルコのベスト8、ベスト4の価値が下がるわけではない。
「個人と戦術の高い次元での融合を果たしたチーム」が結局なかった。ブラジルとて戦術的には3R頼みだ。EURO2000の時のフランス、南米予選の時のアルゼンチンに匹敵するチームはなかった。
この現実は、トップ10を形成する列強と第2グループの差は、傑出した世界的タレントの有無だけだということを意味しているのではないだろうか。つまり、優勝候補といえどもエース格の選手がコンディション不良であればチーム力として第2グループに脅かされるということだ。ジダン、フィーゴ、ラウル、ベロン、・・・・・(レアルの選手が多いな、そういう意味ではレバークーゼン勢はよく頑張った)。
世界のサッカー地図が少しずつ動いているのを感じたKOREA/JAPANだった。

次の4年に思いをはせながら
では、日本も第2グループのメンバー入りをしたのか。第2グループとは、条件が揃えば列強に勝つ可能性を持っているチームだ。別な言い方をすれば、W杯本大会の常連になりうるチームという意味だ。さてどうだろう。その答えは、次の4年間を待たなければならない。2006年ドイツ大会こそ日本の力が本当についたかどうかがわかる大会になるだろう。まずアジア予選を勝ち抜かなければならない。この目標だってやさしくない。まずはここから始めなければならない。列強だって同じ道を通る。でも突破してくる。
そう、「なんだかんだ言って、日本は必ず突破するよね」という時代が来なければならない(実際韓国がそうだ)。我が日本代表はW杯の仲間入りのための第1次試験にパスしただけなのだ。第2次試験が待っている。歩みを止めてはいけない。身近に良きライバルがいる。韓国とともにさらに切磋琢磨を繰り返さなくてはいけない。

最後に・・・
さて、ベスト11を僕なりに選んでみる。記録に残すために各賞も選定しよう。
GK:カーン(ドイツ)
DF:ラメロウ(ドイツ)、ホン・ミョンボ(韓国)、ファーディナンド(イングランド)
MF:バラック(ドイツ)、ロナウジーニョ、R.カルロス(ブラジル)、エムレ・ベレゾル(トルコ)、ソン・ジョングッ(韓国)
FW:ロナウド、リバウド(ブラジル)
このメンバーで試合をしてほしいから2ndベスト11も選んでしまおう。
GK:イ・ウンジェ(韓国)
DF:ルシオ(ブラジル)、リンケ(ドイツ)、キャンベル(イングランド)
MF:パク・チソン(韓国)、ハッサン、トゥガイ(トルコ)、スコールズ(イングランド)
FW:ノイビル(ドイツ)、ラウル(スペイン)、ディウフ(セネガル)
残念ながらカフー(ブラジル)は彼の持ち味である攻撃をあまり出さなかったから選外となった。

ベストマッチ:内容的にはドイツ対ブラジル、ドラマ的には韓国対イタリア
最高殊勲選手賞:もちろん、ロナウド(ブラジル)!!、次点:カーン(ドイツ)、あたりまえすぎる?
最優秀監督:当然、フース・ヒディンク(韓国)見事だった。脱帽!
敢闘賞:セネガル、殊勲賞:韓国、技能賞:トルコ
特別奨励賞:日本、イングランド(個人的に4年後の期待を込めて、ハハッ、ひいきだ)

さあ、代表新監督だ、Jリーグだ、ユース代表だ、U-21(アジア大会〜アテネオリンピック)だ。
休みなしだよ!(長くて申し訳ない)


 

 

                  

 

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