今回のテーマは「ベストヒットUSA」だ。
「ベストヒットUSA」というとまず、小林克也氏の名司会の番組を思い出す。
1981年から89年まで8年に亘って、テレビ朝日系列で放送されていたアメリカン・ヒットチャート番組である。
今回のセッションはそれにちなんでもいるが、1981年から85年までの、ビルボードの全米ヒットチャート
年間100位以内に入った曲を対象にしているのだ。
この時代というと私、長太郎は一番音楽を聴くことに浸かっていた時期。
中学生でアメリカ・イギリスの音楽に目覚め、高校生になり楽器を始めたころである。
自分としても、テレビ/アニメ主題歌と、この時代の音楽がひじょうに大きなバックボーンになっている。
まさに願ったり叶ったりのセッションであった。
演奏曲は以下のとおり。(今回は邦題も掲載)
| SONG |
邦題 |
ARTIST |
| DID IT
IN A MINUTE |
ディディット・イン・ア・ミニット |
HALL & OATES |
| KEEP THE
FIRE BURNIN' |
キープ・ファイアー・ザ・バーニン |
REO SPEEDWAGON |
| SHADOWS
OF THE NIGHT |
シャドウズ・オブ・ザ・ナイト |
PAT BENATAR |
| SHOUT |
シャウト |
TEARS FOR FEARS |
| THAT'S
ALL |
ザッツ・オール |
GENESIS |
| CENTERFOLD |
墜ちた天使 |
THE J.GEILS BAND |
| BACK ON
THE CHAIN GANG(*) |
チェイン・ギャング |
THE PRETENDERS |
| FAITHFULLY |
フェイスフリー |
JOURNEY |
| DO YOU
REALLY WANT TO HURT ME(*) |
君は完璧さ |
CULTURE CLUB |
| HEAT OF
THE MOMENT |
ヒート・オブ・ザ・モーメント |
ASIA |
| RUN TO
YOU |
ラン・トゥ・ユー |
BRYAN ADAMS |
| GHOSTBUSTERS |
ゴーストバスターズ |
RAY PARKER JR. |
| MANIAC |
マニアック |
MICHAEL SEMBELLO |
| SAVING
ALL MY LOVE FOR YOU |
すべてをあなたに |
WHITNEY HOUSTON |
| WHO CAN
IT BE NOW |
ノックは夜中に |
MEN AT WORK |
| HOLD ON |
ホールド・オン |
SANTANA |
| EASY
LOVER |
イージー・ラバー |
PHILIP BAILEY |
| ALLENTOWN |
アレンタウン |
BILLY JOEL |
| BETTE
DAVIS EYES |
ベティ・デイビスの瞳 |
KIM CARNES |
| I KEEP
FORGETTIN' |
アイ・キープ・フォーゲッティン |
MICHAEL MCDONALD |
| EYE OF
THE TIGER |
アイ・オブ・ザ・タイガー |
SURVIVOR |
| CAN'T
FIGHT THIS FEELING(*) |
涙のフィーリング |
REO SPEADWAGON |
| DE DO DO
DO,DE DA DA DA |
ドゥドゥドゥ・デ・ダ・ダ・ダ |
THE POLICE |
| YOU
MIGHT THINK |
ユー・マイト・シンク |
CARS |
| PHYSICAL |
フィジカル |
OLIVIA NEWTON-JOHN |
| IF YOU
LOVE SOMEBODY SET THEM FREE |
セットゼム・フリー |
STING |
| THE
REFLEX |
リフレックス |
DURAN DURAN |
| I FEEL
FOR YOU |
アイ・フィール・フォー・ユー |
CHAKA KHAN |
| IS THERE
SOMETHING I SHOULD KNOW |
プリーズ・プリーズ・テルミーナウ |
DURAN DURAN |
| KISS ON
MY LIST(*) |
キッス・オン・マイ・リスト |
HALL & OATES |
| SAY IT
ISN'T SO |
セイ・イット・イズント・ソー |
HALL&OATES |
| SEPARATE
WAYS |
セパレート・ウェイズ |
JOURNEY |
| GET IT
ON(*) |
ゲット・イット・オン |
THE POWER STATION |
| SOME
LIKE IT HOT |
サム・ライク・イット・ホット |
THE POWER STATION |
| 99
LUFTBALLONS |
ロックバルーンは99 |
NENA |
| TOTAL
ECLIPSE OF THE HEART(*) |
愛のかげり |
BONNIE TYLER |
| ROSANNA |
ロザーナ |
TOTO |
|
|
|
(*)は筆者がが演奏に参加した曲。
今回はセッションで初めて幹事の手伝いもし、名札/パンフ/曲目表作成係という大役を仰せつかった。
(当初は"ベース係"という有名無実な係)
今回、連れ出したのはバルトリーニ8Sも眩しい
フジゲンPB。
以下、自分の演奏の感想など。
◆Back on the Chain Gang/The Pretenders(表明曲)
'83年のプリテンダーズのアルバム"Learning to Crowl"からの曲。
ホント云うと、このアルバムではもっと好きな曲もあるのだが、残念ながらそれらは今回の対象曲に
なってはいなかった。しかし、この曲もさり気なく転調していたりと、
サラっとしてはいるが結構いい曲だ。(<-転調してるとすべていい曲だと思ってしまうのは困りもの..)
ベースの技術的には基本的に4分音符中心で「のどか」に弾くという感じで特に問題ない。
ただし、叫び声のような男性コーラスが入るのだが、これがベースのフレーズのアクセントと
微妙に異なっていて困った。
当日のセッションで、この曲が1曲目で正直助かった。演奏曲の中でも演り易い方の曲だからだ。
実際の演奏でも、まぁつつがなく演奏できたと思う。
◆Do you really want to hurt me?/Culture Club(便乗曲)
'83年のカルチャークラブの確か2ndシングル。
「カルチャー・クラブ」と云えばほとんどの人がこの曲を思い浮かべると思う。
この曲がヒットした当時、私はまだ中学生で、曲の作りがどうだ、楽器のアレンジがどうだ、ということは
少しも解っていなかった。
当時はリードボーカルで中心人物の「ボーイ・ジョージ」の中性的なところが嫌で、カルチャー・クラブは
あまり好きでなかったように思う。
それから数年して、自分でもベース・ギターを弾くようになってしばらくして、この曲を改めて聴いたらば、
時代を先取りしたようなオシャレ−なアレンジだったことを再発見し、カルチャー・クラブへの誤解が
氷解したのだった。
この曲の表の主役はボーイ・ジョージのちょっと儚げなボーカルだが、裏の主役がベース・ギターなのは明らかだ。
ベーシスト的にはこの「かっちょいい」ベースを一度は弾いてみたいと思うのも自然の理だ。(大げさ)
で、今回、念願叶ってこの曲を演奏できることになったのである。
この曲はずいぶん前に遊びでコピーしてみたことはあるが、もう忘れてしまっていた。
こういう曲は、テクニカル面よりも雰囲気を出すのが難しい。
しかし、技術的にできないほどではないので、地道にやって慣らしていくのがいちばんだ。
後の「愛のかげり」とこの曲に関しては演奏が決まる前から、コピーを開始。
時間を掛けられただけあって実際の演奏時点では、かなり馴染んできたと思う。
技術的な工夫点は2つ。
ひとつはピッキングする指。いつもは中指がアタマの音、つまり中指からピッキングを始めるのが癖なのだが、
中指だと人差し指にくらべて太いため、音にパンチが出てしまう。
そこでソフトにピッキングすることを考えて、人差し指から撫でるようにピッキングした。
もうひとつは左手のポジション。
D->E->Dと動くところがあり、通常ならA弦の5ft,7ftを使うところをD弦の2ftとA弦の5ftとした。
左手としては同一弦で動いた方がラクなのだが、E->Dと行くときにどうしてもD弦開放の空ピックで
間を取りたかったが為である。
と、いろいろ自分なりに工夫して演奏したが、その成果は出てたかなぁ..
個人的にはまぁまぁな演奏ができたと思う。
◆Can't fight this feeling/REO Speedwagon(便乗曲)
'80年代、爽やか系グループと云えば「エア・サプライ」とこの「REOスピードワゴン」である。
駄菓子菓子、REOの方は実は結構骨太なロックだったりするのだ。
今回のセッションでもREOは数曲出ていたのだが、本命の「Keep the Fire Burnin'」は既にベース奏者が
決まっていたこともあり、こちらの「涙のフィーリング」を演奏することにした。
この曲もピアノで作ってある曲らしいコード進行だ。そしてバラードの定石どおりのアレンジで
1コーラス目の半分ほどまでが、歌とピアノの弾き語りである。
ベースとしては、ベースドラムに絡んで大きく弾く、というのがポイントかと思う。
このセッションにあたって、REOを改めて聴いてみたが、ポイントポイントでベースがひじょうに
カッコいいプレイをしている「Keep the Fire Burnin'」などはその最たるものだが、この曲でも
1個所「オイシイオブリ」(スタジオジブリではない)が入っていて、プレイする側を飽きさせない。
実際の演奏では、ややぎくしゃくしてしまったが、まぁ曲の良さはお伝えできたのではないかと。
◆Kiss on my list/D.Hall&J.Oates(便乗曲)
'80年代ヒットチャートの常連といえば、ホール&オーツも外せない。
近年でも「Private Eyes」などがTVCMに使われたり、日本公演も果たしたりと、停滞気味だった90年代を
取り戻すかの様な勢いだ。
この「Kiss on my list」もホール&オーツの人気が絶頂だった頃の代表曲である。
ベースを始める前や、ベースを始めて間もない頃から、ホール&オーツ バンドのベースプレイヤー、
トム・ウォークが好きだった。自分にとっては、デュラン・デュランのジョン・テイラーと並んで、
ベースという楽器を印象づけられたプレイヤーだと思う。
コピー元としたのは、2002年ごろに発売された、ホール&オーツの1984年ごろのライブ盤の演奏から。
レコードのオリジナルテイクはベースはひたすら地味に弾いているが、ライブ盤ではトム先生、
遊びまくり..コピーする方もそちらの方が楽しいので、ライブ盤でコピーしてみた。
とはいっても、そこは完コピではなく、あくまで雰囲気コピーで。
実際の演奏も気心の知れたメンバーになったため、ひじょうにリラックスして演奏できた。
が、「ホール&オーツの曲なのにハード過ぎ」という物言いもついたが..
◆Get it on/The Power Station(便乗曲)
パワーステーションは'80年代中盤、当時絶頂にあったデュラン・デュランのジョン・テイラーと
ギターのアンディ・テイラー、元CHIC(シック)のトニー・トンプソン、
2003年に亡くなってしまったが、シンガーのロバート・パーマーで結成された、
いわゆる「スーパーユニット」の先駆けであった。
ジョン・テイラー曰く「シックのファンキーさとセックス・ピストルズをミックスさせたバンド」
とのことだった。トニートンプソンを擁するだけに、シックらしいファンキーさは十分あるが、
傍目にも(セックス)ピストルズらしさは感じられない。
しかし、このバンドのレコーディングで見せた(聴かせた)ドラムへのゲートリバーヴの処理は革命的であった。
当時はこれを日本のアーティストもたくさん真似していたっけ。
本当は代表曲である「Some like it hot」を演奏したかったが、他に演奏者が決まってしまい、
もう一つの候補であるこちらを演奏することにした。
この曲はご存知のとおり、T-Rexの曲だが、もともとノリ一発の曲なので、曲の展開などはあまりない。
Aメロとサビを交互に繰り返す、という感じでT-Rexバージョンだと曲の長さも3分くらいなものだったと思う。
だが、このパワーステーション版では5分半も引っ張るのだ。ハッキリ云ってこれは長すぎ。
本来はベースソロ、ギターソロがあるのみだったが、今回の演奏では演奏前の話し合いで、ドラムソロも
入れたり、構成を短くしたりと、イジり放題で演奏してしまった。
ベースソロはスラップではなく、あえて"チョッパー・ソロ"。
ベースソロを演るというのも、ほぼ有り得ないことだが、チョッパーなど更にない。
いちおうこの曲のチョッパーソロ程度であればできるので(高校生時分にコピーした実績あり)、
やってみた、という次第。
結果はどうだったんだろ..?(録音に失敗したので演奏を客観的に聴けてない。)
まぁあまり演奏の出来不出来を気にする曲でもないのだが。
◆Total Eclipse of the Heart/Binnie Tyler(表明曲)
この曲は思い入れたっぷりです..
今回のセッションはこの曲を演らんが為にあったと云っても過言ではない。
ボニー・タイラーといえばこの人も苦労人というか、ちょっとしたヒットはあっても大ブレイクするような
人ではなかった。
しかし、この曲のプロデューサーであるジム・スタインマンの手により、'83年、この「愛のかげり」が大ヒット。
ここから「Holding out of HERO」(ヒーロー)などのヒットにつながるのである。
この「愛のかげり」ヒットした当時はまだ中学生であったが、大仰な音作りに大仰なプロモーションビデオと、
当時の私にはまったく理解できなかった。どっちかというと嫌いな方の曲だった。
しかし、20歳代中盤ごろから自分の中で、'80年代ヒットがマイブームになり、'80年代モノのコンピレーション
アルバムなどをよく買っていた。
それらのCD中にこの曲もあったのである。
"オトナ"になって、改めてこの曲を聴きなおしてみて、その素晴らしさに打ち震えたものだ。(<-大仰)
この曲を「表明」するにあたっては正直「ロン」(演奏決定)するとは思わなかった。
何しろ募集パートがヴォーカル、コーラス1(男性)、コーラス2(女性)、ドラム、キーボード1(ピアノ系)、
キーボード2(オルガン系)、パーカッション、というこのテのセッションには絶対入っているはずの
"ギターレス"な上に、ただでさえ集めるのが難しいキーボードが2パート。(レコーディングでは僅かにギター−
テレキャスター?らしき音−が聴こえる部分があるような気がする..<-曖昧)
ロンはしないかもしれないが、この曲を演奏する上で募集パートの妥協は許されないのであった。
駄菓子菓子、たいへんラッキーな事に参加者の中に賛同下さる方がおり、募集パートすべてが揃って演奏できる
ことになった。
ベース演奏上のポイント..ジム・スタインマンとボニー・タイラーに感謝しつつ、歌と曲を盛り上げること、それに尽きる。
と、これだけだと何なので、細かいことを書くと..まずは、曲のキーになるブリッジでのベースのメロディー。
1コーラス終了時とエンディングの2箇所あるのだが、これがなかなか憶えられず、実は苦労した。
このフレーズに関しては絶対完コピの必要があるし、半音たりとも間違えられない。
フレーズを弾くのに技術はそれほど必要ないが、音楽的な緊張感があった。
本番では1コーラス目が終わるまでは珍しくカタくなっており、1回目もブリッジのフレーズは2音ほど
ミストーンを出してしまった。(アタマの中が白くなってた。)
あとは曲中、マイナー<->メジャーの転調が多いので(これが良いところなのだが)、経過音などに気を遣う。
これについては本番直前まで聴き込んで可能なかぎり完コピを心がけた。(<-珍しい)
それよりもこういう「気合い先行」の曲はチカラが入ってしまってかえって良くないので、
いかにラクに演れるか?に心を砕いたつもりだったが、前述のとおり1コーラス目までは
珍しくカタクなってしまっていた。2コーラス目からはやっとバンド全体を見回す余裕が出てきた。
「死ぬまでに一度は演奏したい曲」と公言していた曲だっただけに、演奏できて満足感もひとしお、
いい冥土の土産になった。
ところでこの曲、「Total Eclipse of the Heart」は「愛のかげり」という邦題だが、何で何だろ?と
思っていた。確かに曲は「かげって」はいるが。で、辞書で調べてみた。
すると「Total Eclipse of XX」で「皆既食」の意味だそうで、「Total Eclipse of the moon」だと
「皆既月食」、「Total Eclipse of the sun」で「皆既日食」となるそうだ。
(英語分かる人にはそんなの常識?)
「Total Eclipse of the Heart」だと「心の皆既食」心がかげった状態ということで、なかなかな邦題の
センスである。邦題万歳。