セッションミュージシャン、スタジオミュージシャンに憧れを持つベース弾きとしては「誰々のバックで演奏」というのは
ひじょうに憧れるポジションだ。
昨年末、あるきっかけで
ボーカル・スクール
の講師/生徒らでライブを行うため、バックで演奏してくれないか、という
オファーがあった。
聞けば洋邦問わず様々な曲を演奏するという。そういう事にはかねてから関心があったので、参加を承諾した。
オファーがあったのが昨年末、2001年の12月暮れ、実際の演奏曲の一部を受取ったのが、明けて2002年1月上旬、イベントは
2月の半ばなので、練習期間は実質1ヶ月少ししかない。しかも演奏曲は15曲ほどあるという。オイオイ大丈夫か?
バックのメンバーは様々な人脈で集まった6人。
編成はドラムス、ベース、ギター×2、キボード、ヴァイオリン(&パーカッション)で、年齢も下は22歳から上は33歳(<-ワシ)と
バラバラ。というか、他のメンバーは皆20代で私一人だけが30代。
初めはメンバーの若さゆえ「ちゃんと演奏できんのかな?」と心配したのも事実だが、演奏してみて驚き。みんな巧い!(私以外)
聞くと、ある音楽専門学校の生徒(とは云っても、殆ど講師に近い人)や講師、プロミュージシャンに師事した人など
若くても音楽的な経験はとても豊富で、道楽程度で演奏してる私とは違う。
演奏もコード譜などを見ないと、とても曲を憶えきれないので、久しぶりに譜面台のお世話になった。
「女祭り」というイベント名だけあって、出演者は殆ど女性ボーカル。(ア・カペラパートのコーラスには男性の方もいた。)
使用ベースは、悩んだ末にムーンJJベースを使用。アンプは"ハートキー"だった。
以下に、演奏した曲とベース中心のインプレションを紹介。
- ◆ヴァージン・キラー/SILVA
- SILVAのシングル曲で、ラテンをモチーフとした曲。
- 恥ずかしながら、この曲は耳コピできなかった。(正確には、コピーしたがかなり間違ってた。)
- シンガーでもある横山輝一の作曲なのだが、コードチェンジが頻繁で、1小節に4回もコードが進行したりする。
- さらには選曲上、一番最後に決まった曲なので練習も数回程度..(そんなので1曲目かい!と楽器隊は思ってたりする。)
- 原曲のベースはシンセにも聞えるが、もしかしたら人が弦ベースで弾いているかもしれない。
- (こんなの当日譜面渡されて、弾け、と云われても−云われないけど−シロートではできまへん..)
- 楽器隊各自が、それぞれアレンジして何とか演奏できた曲。本当は"バンド・キラー"だと思う。
- ◆WOMAN/アン・ルイス
- 我々20代後半から30代にはかなり知られた曲。90年代はじめの頃の女の子はみんな、カラオケで歌っていたっけ。
- "一聴"ストレートなロッカバラード(死語)だが、改めてコピーしてみると、ちゃんと計算されて作られている。
特にギターソロ途中でマイナー->メジャーに転調するあたりは、リードギターの人も嘆いていた。
(ちなみに若い彼はこの曲を知らなかった..)
- 単純にこの曲は演奏していて気持ち良かったなぁ。さすがアンルイス。
- ◆月に負け犬/椎名林檎
- 椎名林檎の確か「勝訴ストリップ」に入っていた曲。他に「罪と罰」という曲が有名だが、アルバムを通して
聴いてみたら、この曲が一番良かったという印象。
- 椎名林檎のベースはプロデューサー亀田誠治氏のブリブリ歪みベースなので、ZOOM506というマルチエフェクター
(昔から持ってる安物)のファズをかけて対応。
- また亀田氏はピック弾きだが、指弾きの方が自由に動けるので指でプレイ。
- この曲もベース弾きまくりで、パターンを憶えてからは弾くのが楽しかった。しかし、この曲はあんまり練習
してもらえなかった。(泣)
- ◆BuzzStyle/矢井田瞳
- ハッキリ云って今回一番楽しかった曲。歌の方に「これ演りたい。」とお願いしたら通ってしまった。
- 演奏当時にもヒットしていた曲。
- オリジナルのベースは何とポール・ジャクソン Jr.師。
- 一般にはあまり注目されないが、Aメロのベースなど「さぶいぼ」モノのカッコよさ。
- 4弦のAあたりから2オクターブ、1弦のハイポジションまで一気に飛ぶフレーズが目玉。
- 個人的には、こういうベース大好き&大得意。しかしこの曲もあんまり練習してもらえなかった。(泣泣)
- ◆Country Road/Olivia Newton John
- カントリー&ウエスタン、ジョン・デンバーの超有名曲。
- 今回は、我が世代には懐かしい、オリビア・ニュートン・ジョンがカバーしたバージョンをルーツとした。
- ベースとしてはバスドラムに合わせたルート->4度下というフレーズを基本に。
- サビとAメロ部のコード進行がわずかに似ていて、混同しがちだったのが注意点だった。
- 女性ボーカル4名のキレイなハーモニーで演奏。
- ◆Lady Marmarade/"ムーランルージュ" SoundTrack
- 映画"ムーランルージュ"のサウンドトラックに入っている曲らしい。今回、初めて聴いた曲。
- 基本的にはHipHopで、原曲は女性ボーカル4名の掛け合い。(実際に女性Vo4人で演奏。)
- 原曲のベースはシンセベースで、フレーズはパターン3つくらいの組み合わせ。
- シンセベース的な音色を狙って、ZOOM506のオクターバーで薄く1オクターブ下の音を出した。
- 曲構成がなかなか憶えられなかったので、歌詞カードをもらい、それにベースラインのパターン別のマーカーを
引いた。これが大成功。結構つかえる手なので今後も機会があればやってみるつもり。
- ◆ダイヤモンド/Princess Princess
- Princess Princess、通称「プリプリ」も我が世代にはお馴染み。
- 学生時代の女の子バンドはみんな「プリプリ」だった。
- いわゆるモータウン"恋はあせらず"リズムで、コード進行は半音づつ下がっていくのが基本。
- 中盤以降1音上に転調するなど、ヒット曲のツボを押えた作り。
- ベースは渡辺敦子さんで、ポップな曲の中にも、かなり美味しいベースが隠されている。
- Bメロ部の上昇フレーズやさり気なく16分音符が入っているのも憎いアレンジ。
- 細かい16分まではコピーできなかったが、かなり気持ち良く演奏できた。
- ◆会いに行こう/オリジナル曲
- 作者にはお会いしていないが、歌い手さん(死語)が持ってきたオリジナル曲。
- デモテープの状態で、バンド形態にアレンジされていたので、それを基本に楽器隊各自でアレンジした。
- 循環コード系の曲なので演奏し易く、ベースはルート音を基本に経過音でつなぐ、というオーソドックスな
スタイルで演奏。歌の邪魔にならないプレイというのが大基本。
- ◆キモチ/Every Little Thing
- E.L.TはTVなどで流れている曲は大抵知ってるつもりだったが、これは今回初めて聴いた曲。
- 曲としては..すいません、こういうのイチバン好きじゃない曲調です。
いかにも"シンセっ"という音と、使用ギターがどんなのか見えてきそうな音色のギター..
- でも演ります。そう、私たちは楽器隊なのだから。(<-何を云ってる)
- これも練習機会が少なく、歌い手さん(だから死語)にだいぶご迷惑掛けてしまった曲。
- 歌詞は、女の子が歌うから許せるような歌詞。(男Voだったら絶対許されない。)
- ◆Best Friend/Kiroro
- HNKの朝ドラの主題歌になっていたと記憶。ヒットしたし、サビなどは知っていた。
- 曲はKiroroだけあって「ピアノで作ってるなぁ。」というコード進行。
そういうのは大抵「弦モノ楽器隊」泣かせ。半音とか1音とかで下がっていく進行が基本。
- ONコード(分数コード)などもあるため、音遣いも微妙。緊張感を強いられる曲。
- またバラードではあるが、抑えるところ、盛り上げるところと、メリハリを付けないと抑揚なく
終ってしまうので、その点も注意だった。
- ◆Only when I Sleep/The Corrs
- The Corrsの2ndアルバム「Talk on Corners」に収録されている曲。
曲は演奏前から、勿論、知っていた。
- バンドのリハを開始して1発目に演奏した曲で、以後、バンドの演奏力を測る
ベンチマーク的な曲になっていたような気がする。
- 編成としても、バンドにバイオリンを擁しているので問題なし。
- 歌い手さん(だから..)のキーの問題もあり、原曲よりキーを1音下げて演奏した。
- 好きなコアーズの曲だけに、個人的には演奏し易いことこの上なし。
- ◆色彩のブルース/Ego Wrappin'
- 演奏当時にFMなどで"Heavy Lotation"になっていた曲らしい。
私の場合は、演奏するにあたって曲を聴き、後からメディアで見聞きしたという順番だった。
- 曲の雰囲気は昭和30〜40年代風の歌謡ブルース、もしくは4ビートのジャズ・ヴォーカルといった風。
- 原曲のベースはウッドベースで演奏されているようで、演奏している人もジャズ系のミュージシャンと思われる。
(mama! milkの清水恒輔氏との事。)
- とてもジャズのランニングベースは真似できないので(努力と根気と時間が必要、いずれもない。)、
自分で適当なフレーズにアレンジしてしまった。基本的にはキーがBmの3コードのブルース進行なので
何とか無難にまとめられたとは思う。しかし、この曲のベースをちゃんとコピーしといたら、勉強にはなった、とも思う。
- ◆Yesterday Oncemore/The Carpenters
- これまた超有名なカーペンターズの名曲。コピーはした事はなかったが当然、曲は知っていた。
- これもKiroroに近い印象だが、「ピアノで作曲の下がり進行系」だ。またも楽器隊泣かせ。
- 白状すると、この曲のコピーについては本番当日まで自信がなかった。サビの終端部分のコード感がどうしても
掴めなかったのだ。結局、曖昧なままで演奏してしまった..
- これもたいへんな緊張感を持って演奏できた曲。こういった曲はめったに演奏できないので、良い経験になった。
- 原曲のベースはジョー・オズボーンと思われるが、残念ながら私のプレイでは猿まねにもなっていない。
- ◆Got to be Real/Cheryl Lynn
- 黒人女性シンガー、シェリル・リンの代表曲、というか私は彼女の曲はこれしか知らない..(アルバム持ってるのに)
- 前述のとおり、数年前にこの曲が収録されているCDを買ったので、曲は知っていた。
- ベースプレイはスラップ(チョッパー)を基本に演奏されているが、実際、自分で演奏する時は、いわゆる
スラップではプレイしなかった。低音弦をサムピング(親指で叩く)する時は、2フィンガーで強めにアタックし、
弦をフレットに当てたりする。プリング(人差し指などで高音弦を引っ掛ける)、だけは行う、という変則スタイル。
- 理由はサムピングの音でどうしても低音が出ないからである。(要はスラップ下手)
前述のとおりかなり苦しいスケジュールではあったが、このトシながらいろんな曲を演奏できて
たいへん勉強になった。
夏ごろに第2弾もあるときくので今から楽しみだ。(しかし俺が弾くことになるんだろーか?)