Last update 2006/05/03.

イギリスのクルマ/ドライブ事情


すでにいろいろな方面でイギリスのドライビング事情について情報があるとは思いますが、 私の感じたイギリスの(イギリス人の)クルマとドライビングについてまとめます。

【道路】
まず、左側通行です。これは日本と同じ。(日本がイギリスの道路事情を真似したので当然ですね。)
イギリスの道は次の3種類に大別できます。

【モーターウェイ】
日本でいうところの高速道路、自動車専用道路です。
マップ上では「M」+番号で表記しています。
全部でいくつあるか判りませんが、(M180というのもあるが、これは180番目というよりもM1の支線とみるべき) ロンドンを中心にイギリス全土を放射状に延びています。

たぶん全線無料。車線はほぼ片側3車線、ところどころ2車線もありますが、大部分が3車線という印象です。
制限速度はあるようですが(70マイル=110kmくらいなはず)、平均すると追い越し車線で90マイル(=150km)、 真ん中の走行車線で、80マイル(=130km)、左側の走行車線で70マイル(=110km)というのが実感です。
私がイギリスを走ったときも自分のクルマの速度で大体の走行レーンを決めてました。

モーターウェイについては、渋滞というののはほとんど出会いませんでした。
唯一、事故による渋滞が少しあったくらいです。
通行料は無料なのに、概して日本の継ぎ接ぎだらけの高速道路より路面は良いです。
一方、日本では高い高速道路料金を取っておきながら、どうしてこういう環境が提供できないのか不思議でなりません。

A級国道
どこだか忘れましたが、道路番号の若い、一般的なA級国道はだいたいこんな感じです。 日本なら地方の有料道路のレベルです。
【A級国道】
日本でいう国道ですかね。これは同じです。
しかし..イギリスのA級国道の場合、特に番号が2桁くらいまでのものは、日本の高速道路と違いません。
日本の高速道路の片側2車線くらい、日本の国道の「バイパス」みたいなのがずっと続いている、くらいの レベルのものがA級国道、という感覚です。

走っていても「モーターウェイとどこが違うんだろう?」と考えてしまいます。
違うと思われるのは、
−(1)本線上にラウンドアバウトがある
−(2)地方に行くと片側1車線になったりする
−(3)たまに人や自転車がいる
というくらいかもしれません。
番号の小さい国道になるとモーターウェイと変わらない速度、スタイルで走ることができます。

B級国道
これも何処だか忘れましたが、B級国道だったと思います。ガードレールやカーブミラーの類はありません。 ここをイギリス人は70マイル(110km)ぐらいでガンガン走ります..
【B級国道】
日本でいう「3桁国道」「県道」という感覚でしょうか。
今回はあまり走っていませんが、実際、「日本の3桁国道みたいだな」と思うような道もありました。
センターラインがあっても切れてる白線(追い越すためのはみ出し可)か、センターラインなしです。
ただ日本のような山道が少ないせいか、日本の「酷道」「険道」というレベルの道には出くわしませんでした。

【ガードレールとカーブミラー】
日本の国道、県道にはなくてはならない両者ですが、イギリスのA,B道にはありません。
ガードレールはなく、ポールが等間隔に立っています。
あと多いのは「生垣」。道の両側に3mほどの高さの生垣が植えられていてそれがガードレールの代わりを しているようです。ただし、そこをスピードを上げて走るとかなり圧迫感はあります。

イギリスの狭い道を走っていて、なぜか不安に思うことがありました。
気が付いてみると山道に必須のカーブミラーがありません。
これは私たち日本人にはキツイ..
カーブミラーは次のコーナーの曲率を知るのに大変重要な手がかりなのです。
カーブミラーの向きでコーナーの角度を知ることができますし、もちろん対向車の有無の確認もできます。
これがないのは「イギリスの狭い道ドライブ」をするには大いに不安な点です。

【ラウンドアバウト】
有名なイギリス式の円形交差点です。 丁字路、十字路など、交差点には必ずこれがあります。
これを通らずして、イギリスでは行きたい所には行けません。 私も事前にラウンドアバウトの知識だけは叩き込んでいきました。
イギリス到着初日、レンタカーを借りて道路に出るとそこがもうラウンドアバウトです。
しかし..ちゃんと回れず、ひたすら出てくるたび左折左折(左折がいちばん簡単)。
何とかラウンドアバウトのないモーターウェイに入れましたが、知識と実践の違いを思い知りました。

基本的には右側から来る車だけに注意してラウンドアバウトに入り、ぐるぐる回って 行きたい出口の案内板が見えたら出る、と文章にすると簡単そうですが、実際は戸惑います。
私が難しいと感じるのは停止する位置。
A級国道など70マイル(=110km)で走っていて前方にラウンドアバウトの標識が。
で、制動をかけるのですが、思ったよりも近かったりすると結構フルブレーキものです。

あとは車線の位置取り。
左折、直進、右折などの「簡単」なやつなら良いです。そんなのもう楽勝です。
しかし、道はそう単純なものではなく、4差路、5差路なども当たり前のようにあります。
行きたい所がいちばん左やいちばん右の道ならいいのですが、真ん中の3つの場合、 左車線に入るか?右車線に入るか?どこで車線変更すれば良いか?など、他車との「駆け引き」 が存在します。

また、連続してラウンドアバウトが2連になっているものもあり(標識だと"メガネ"のように見える)、 これだと1つ目を回っている間に次のループの入り口が訳わかんなくなったりします。
陸橋を含んだ巨大なものや、ほとんど直線で、申し訳程度に1.5mくらいの円が書いてあるようなものなど バリエーションは様々です。

このラウンドアバウト、公道上に定常円旋回の練習場があるようなものですね..

B級国道 B級国道 B級国道
街中にあるごく一般的なラウンドアバウト。 イギリスの道を走っているとよく出くわすラウンドアバウトの標識。 2,3日も走っていればこの程度は問題なし。ところが.. ひぇぇ、止めてくれーと思うようなのもたまには出現します。実際は標識ほど難しくはありませんでしたが。

【速い】
速いです。やはり。
「イギリスのドライバーはバンバン飛ばす」というウワサは聞いていました。
実際、初日に走ったモーターウェイも平均速度は速いと感じてましたし。

しかし、実感するのは片側1車線の道の走り方です。
先に、イギリスの国道でも日本の3桁国道に近いものがある、と述べましたが、厳密には違う部分も多く、 速度は確かにイギリスの方が出やすい(出そうと思えば、かつ、その技術があれば、の話ですが)と思います。
私もよく走る日本の3桁国道や県道では、2速や3速を使った細い曲がりくねった道が多いです。
というのも、山を上り下りするには「つづれ折り」の道でないと上り下りできないからです。

一方、イギリスの場合、丘を上り下りするような道が多いため、道は片側1車線で 2台ぎりぎりすれ違う道でも、あまりぐねぐねとは曲がっていません。
そのため使うギアも3速、4速、5速(!)が中心です。
日本なら「30」キロの速度表示があるような道でも直線やそれに近い状態なら彼らは平気で70マイル(=110km) くらい出します。で、コーナーが近づくと5->4->3のマシンガンシフトダウン! (と、実際彼らはどうやってるか判りませんが私はそうしないと追いて行けませんでした..)

噂では「オバさんもおネエちゃんも、当たり前にみんなそれくらいで走る」というのもありましたが、 そこまで極端な例には幸い会いませんでした。
しかし、日本の田舎で運転しているオバさんやおネエちゃんとは速度域はまったく異なります。
先ほどの例だと、「70マイルは出さないけど55マイル(=80km)は出す」という感じでしょうか。

日本の「走り屋」の若者がこちらで走ったら驚くと思います。
それも走っているのが彼らの乗っているようなチューニングカーなどではなく、 フツウグレードの(でもMT)ヴォグゾール(オペル)・アストラだったりするのですから..

【マニュアル、マニュアル】
ヨーロッパ旅行ガイドなどを見ると「レンタカーはほとんどマニュアル車なので 日本でオートマチックを予約した方がいいでしょう」みたいなことが書いてありますが.. マニュアル愛好家からすれば笑止千万!
イギリスのマニュアル車率の高さはそれだけで嬉しくなってしまい、永住したいとさえ思ってしまいます。

ジャガーのMT仕様
ちょっと判りづらいですが、Land's ENDで見かけたジャガーのMT仕様。
駐車場に停まっている車をさりげなく覘くと(あまり見ると物盗りと思われるので注意)、もうほとんど全部マニュアルです。
「さすがにジャガーはマニュアルじゃないだろう」と思って見ると、ジャガーまでマニュアル!(初めて見た)
メルセデスなんかはさすがに違うようですが、高級車もコンパクトカーもみんなマニュアルです。

これまで書いてきましたが、これはイギリスの人のドライビングの在り方を示しているように思います。
クルマという道具を自分の意思で積極的に使う、という事です。
「面倒だから」「渋滞が多くて辛いから」などという理由でエンジンの出力を駆動する部分を 機械の選択に任せる、という日本人のドライビングと根本的に違うと思います。

直接の理由ではないかもしれませんが、イギリスを10日間、2000マイル(=3200km)ドライブして、 事故というものをほとんど見ませんでした。
(直接的にも間接的にも。モーターウェイで大型車が単独で事故をした渋滞が1回きり) 日本なら、盆暮れの帰省ラッシュで一日に何回も事故渋滞に遭ったりします。

常識的に見れば「クレイジー」な速度で走っていても、物理の法則に則って、 正しい意識で正しい操作さえしていれば、事故が起きないことの好例のようにさえ思います。

彼らがオートマチックを選ばないのは、価格が少しばかり高いからだとか、燃費が悪いだから という理由だけではない気がします。
おそらく電気自動車化されて、トランスミッションが不要になるまで、彼らは マニュアル車に乗り続けるのではないでしょうか。

【イギリスのクルマ】
イギリスの国産車というと、ローバーやMG(モーリス・ガレージ)などですが、両メイカーとも生きも絶え絶えの経営状態です。
そのため、イギリスでは「輸入車」の比率が圧倒的に高いです。

実際の販売台数に基づいている訳ではありませんが、走っていて周りのクルマを見た感触で云いますと、 イギリス全土で多いのはやはり「ヴォグゾール」(オペル)です。
日本名ヴィータ、英国名コルサからフラグシップのシグナムまで走っています。
しかし多いのはコルサやアストラなどのコンパクトな車種です。
日本で「オペル」として見ていたときは「何かオペルって鈍くさい感じだな..」という印象でしたが、 イギリスにきてこれでもか、とヴォグゾールを見ていると「結構オペルも良いかも..」などと思ってしまうから不思議です。

次に我らがプジョー
プジョーもイギリス全土で多く見かけます。日本でも最近多いですが、106でもES10系の車体もずいぶん残っています。
205はさすがに少なかったですね。
これもあくまで感触なのですが、イギリス南部、つまりフランスに近いほうがプジョー率が多い気がするのです。
今回の旅の前半ドーバーからランズエンドまでイギリスの南の海岸部を走りましたが、その地域はオペルよりも プジョーの方が多いんじゃないの、という気さえしました。
旅の後半は北イングランドに行きましたが、そちらは南部ほどプジョ車が多いという印象はなかったですね。

シトロエン・クサラ・ピカソ
イギリス版エスティマ?のシトロエン・クサラ・ピカソ。父ちゃんもぶっ飛ばします。
あとPSAグループ、という意味ではシトロエンも結構な台数走ってました。 感触的にはルノーと同じくらいの台数が走っているかもしれません。
シトロエンでよく見かけたのは「クサラ・ピカソ」というクサラベースの1BOXみたいなクルマです。
イギリスのオトーサンが家族連れてどこかへ出かけるという図式です。しかし、ムチャクチャ飛ばしますけど.. (ファミリーカーに負けちゃダメでしょと、結構必死になって追いて行きました..)

メルセデスBMWはここでも高級車。
フォルクス・ワーゲンは思ったより少ない印象でした。最近、高級志向だからな..
あと日本ではサーブってあまり見ませんが、イギリスではボルボサーブはちょっと成功したエグゼクティブ が乗ってる、という印象でよく見かけました。同じようなところではアウディもそうですね。
日本だとBMWの3とかメルセデスのCに乗るような人たちが北欧系メイカーに乗る、という感じでしょうか。

【ホリデー:引っ張る引っ張る】
10日間のドライブ中、週末を一度経験しましたが、道を走るクルマの様子が違うのに気がつきました。
何が違うかって、家やら船やらいろんなものを「引っ張って」走る人の多いこと!

前々から「クルマの後ろに付いてる金具みたいなのは何かなぁ」と思っていたのですが、このときに威力を発揮するようです。
また休日は平日に比べてクルマの速度も緩やかになる気がします。
イギリス人、普段はストレスが溜まってるから飛ばすなんてことは..

キャンプ場を通りかかったときに、中で何をしてるかちょっと見たのですが、特に何をするわけでもなく、 モーターホームの中でテレビとか見てるんですよね。やってることは都会と変わらない。
彼らにとっては「自然の中に来ているんだ俺は」という満足感が大切なのでしょうね。
引っ張るための金具 モータホーム
イギリスのクルマの10台に4台は付いている (本当の統計ではありません、念のため..)「金具」。
週末になると、これにモーターホムやらボートやらをくっ付けて引っ張ります。
キャンプ場にあるモーターホーム群。実は夕食食べてテレビ見てるだけだったりする。

【L】
教習中の106
路上教習中の106。
日本では自動車教習所に入って車の運転の仕方を習うのが一般的ですが、イギリスではどうも路上教習は 自分や家族のクルマでやるのが一般的のようです。(たまにイギリスの自動車教習所のクルマと思しきものも見ましたが。)
その場合、クルマにはこの「L」のステッカーを貼るようです。
この「L」ステッカーを貼ったクルマ、イギリスでは毎日のように見かけました。
ラウンドアバウトの走り方は、外国人の私といいとこ勝負です..

よく解らないのが二輪車でも「L」マークをつけて走っている人たちです。
彼らは一応、教習生なのですが、「L」マークをつけているだけでガンガン飛ばしてます。
あれだと教習中の意味ないと思うんだけどなぁ。


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