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Last update 2001/12/17.

2001年

サービスの達人たち (新潮社OH!文庫)
野地秩嘉・著
「新潮社OH!文庫」って考えてみたら結構読んでる。興味を惹かれる作品が結構あるんだよなぁ。

今回はサービス、カタチには残らないものを扱う事を職業としている人たちの話だ。
年にロールスロイスを20台売る営業マン(1台2〜3000万円)、老舗の天丼店、ウイスキーのブレンダー、 電報配達のプロ、怪物興行師、伝説の靴磨き、とこれだけ書く何のことか解らないが、 紹介されているのは本当の意味での「プロ」たちだ。
特に有名人でもない彼らだが、紹介されている「技」や「心構え」にはただただ脱帽。

自分もいちおうはプロ(のサラリーマン)として食ってはいるが、彼らの徹底したシゴト振りと比べると、 ただただ情けないばかり。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/12/17]

無人島暮らしの手帖 (新潮社OH!文庫)
朴相俊/朴敬秀/李宇逸・著 羅愛蘭 訳
いわゆるハウ・トゥー本。
無人島に流れ着いたらどうやって生き延びればいいか?をコミカルに、しかし科学的裏図けも交えて 紹介している。
途中で気が付いたのだが著者、翻訳者は韓国の方々。翻訳者の方も日本語に精通しているようで 文章もまったく違和感なく読み進められた。

水の確保、火の起こし方、食べられる食物、方向の知り方、住居の作り方etc..
「無人島に流されたらどうしよう..」と結構考えた事がある人も居ると思うが、 私の場合、偏食だし、なまものはあまり好きじゃないし、草を食べるのも苦そうでダメだし..
こういう本を読んで知識を得るのは大好きだが、たぶんこの知識が役立つまで生きていられなさそうだ。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/12/17]

坂の上の雲 (文春文庫)
司馬遼太郎・著
すごく有名な作品で、かねてから何人かに勧められていたものの、今まで読む機会がなかった。
長編モノ(全8冊)は途中でメゲてしまいそうなので、今まで避けてきたが、とりあえず1冊目を 読んでみることにした。
舞台は明治時代。開国の混沌の中、急激な近代国家への道を歩む日本で、四国松山出身の 秋山兄弟、俳人・正岡子規を描いた群像作品だ。

秋山兄弟の兄・好古は陸軍騎兵隊、弟・真之は海軍に入隊し、それぞれが日本軍の近代化に貢献していく。
やがて物語が進み、日露戦争の様子が描かれていくのだが、まだそこまで読み進んではいない。

確かに文学的名著かもしれないが..自分にとってはビンテージな作品、という印象。
ちょっと自分好みの作品ではないな、という事で歴史的名著に対する冒涜ともいえる評価?

評価(5点満点):■■□□□

[2001/12/17]

小銃・拳銃・機関銃入門 (光人社NF文庫)
佐山二郎・著
完全に趣味の世界..
欧米の銃器についての研究書はわりと目にするが、主に江戸後期以降、太平洋戦争ごろまでの 日本軍の小火器についての研究書についてはあまり見たことはない。

この本では、火縄銃から村田銃、38式歩兵銃、99式歩兵銃などの小銃の他に、南部式拳銃、軽・重機関銃に 至るまでが詳細に紹介されている。正式採用されたものばかりではなく、試作品などについても 余すことなく紹介されている点も抜かりはない。
設計図など、よくもこれだけの資料を集められた点には感心するばかり。

読み物、というより「資料」という内容なので評価は低めだが、すごい資料には違いない。

評価(5点満点):■■□□□

[2001/12/17]

イエロー・サブマリン (小学館文庫)
山際淳司・著
最近、アンダースローの投手が少なくなった。
アンダースロー投手のことを「サブマリン」という。 その投球フォームが潜水艦が浮上する姿に喩えられるからだ。
昔のビデオなどを見ると阪急の山田久志や巨人の小林などアンダースローでバリバリ勝っていた投手がいた。 今現役でイチバン「低い」ところではスワローズの高津あたりだろうか。(高津はまだサイドスローだけど)

山際淳司は'95年に若くして急逝してしまったが、一時は何冊か氏の作品を読んでいたこともあった。
作品の多くはスポーツを素材とした爽やかな短編が多く「スローカーブを、もう1球」「ナックルボールを風に」 など好きな作品もある。

この作品は氏には珍しく長編。
タイトルの「イエロー・サブマリン」は当然ビートルズの「イエロー・サブマリン」に引っかけで、 若い日本人のアンダースロー投手が、アメリカ・メジャーリーグを目指す物語だ。
主人公は、日本のプロ野球経験者などではなく、高校を卒業して単身アメリカに渡り、1A,2Aを経てメジャー に上がるまでを描いている。
そういった意味では野茂や佐々木などではなく、高卒からマイナーを経てメジャーに上がったマック鈴木 のサクセスストーリーに近い印象だ。
しかし、本書が書かれたのは1992年で野茂がメジャー入りする数年前の事で現実を予見したようにも 思える。

作品としては、氏のノンフィクションの短編の方が好きなので、平凡な点数。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/11/11]

雷撃深度十九・五 (文春文庫)
池上 司・著
戦争映画で外れなし、と云われているジャンルに「潜水艦モノ」というのがある。
古くはロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンスの「眼下の敵」や、「Uボート」 「レッド・オクトーバーを追え」「クリムゾン・タイド」、日本のコミックでもかわぐちかいじの 「沈黙の艦隊」、最近では「U-571」とどれも名作揃いだ。
そもそも「潜水艦」という状況はいやが上でも緊張感を高める要素ばかりだ。
作戦行動においては、目で見る事がほとんどできず、頼るのは音波のみ。爆雷攻撃や、アクシンデントで いつ圧潰するか分からない恐怖..

この本は、昭和20(1945)年7月に日本海軍の潜水艦・伊58号が、アメリカの重巡洋艦・インデアナポリスを 撃沈した史実を元に構成されている。(これは記録されている、日本海軍による最後の米大型艦船撃沈。)
物語の半分は事実だが半分はフィクションの要素も含まれている。
事実、重巡インデアナポリスの乗組員は史実に基づき、実名で登場し、日本の伊号潜水艦乗組員は意図的に 仮名で登場している。

物語はある命令を帯びた重巡インデアナポリスとそれを阻止しようとする伊58号潜水艦との戦いを描いた ものだが、前半、インデアナポリス、伊号、それぞれの乗組員と物語が並行して展開し、中盤以降、 それらが一気に収斂していき登場人物の描写、物語に厚みを持たせている。 (正直、前半はちょっと根気が要るが、後半のクライマックスで全て許せる。)
インデアナポリス艦長と、伊号に乗り合わせた司令との意外な因縁、また両者の虚々実々の駆け引きなど、 潜水艦モノには欠かせない緊張感にあふれた作品だった。

映画化すれば「U-571」なんかよりも素晴らしい傑作になるだろうが、結局、インデアナポリスが 撃沈されてしまうので、ハリウッドでは映画化しないだろうな、やっぱ。

というわけで今回は5点オーバー。個人的には久々に出会った大傑作。

ちなみに「雷撃深度19.5」とは魚雷発射時の潜水艦の潜望鏡深度なのだと思う。

評価(5点満点):■■■■■<

[2001/11/11]

自衛隊に誇りを (小学館文庫)
志方俊之・著
アメリカでの同時多発テロへの報復攻撃で自衛隊の派遣問題に揺れる日本だが、たまたま タイムリーにこの本を読んだ。
筆者は元自衛隊の高官で、簡単に云ってしまうと、国民の"財産である"自衛隊を「国防軍」として もっと"格上げ"したらどうか、というものである。(って、端折りすぎか。)

個人個人の主張はいろいろとあろうが、個人的には自衛隊の存在には賛成だし、この本の筆者の 様に自衛隊にもっと権限を与えるべきであると思う。
この7月に紹介した「宣戦布告」でも感じたが、自衛隊の行動をめぐる法整備がなされておらず 必要な時に必要な働きができないのは、今見るとおりである。
災害時の自衛隊派遣については、阪神大震災以降、かなり行動の制約が無くなってきた様に 思うが、GNPの1%も予算を使っている自衛隊をもっと有効活用できるようにするのは至極当然の 事だと思う。

連合軍(米軍)占領下に制定された憲法をもとに自衛隊の違憲、合憲を議論するのはナンセンス、 という筆者の主張には大いに頷けるものがあった。
今のご時世、警察力だけでは絶対国は守れない。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/10/18]

謎とき 日本合戦史 (講談社現代新書)
鈴木眞哉・著
普段読む本の中で戦争、戦史に関する書物については結構多い。
中でも戦術、兵器について書かれているものについては見掛ければ、可能な限り読むようにしている。

この本も戦術について書かれたものの一つだ。
太平洋戦争の頃の旧日本陸軍は終戦に近づくにつれて、自棄になったように銃剣突撃を繰り返し 多くの犠牲を出していた。この事は「バンザイ突撃」という大戦中の悲劇としてよく語られている。
これは旧日本陸軍のバイブルとされている「歩兵操典」に「白兵戦闘こそ日本の"伝統的"戦術である。」 と謳われており、これが旧日本陸軍を白兵戦闘主義に走らせた大きな要因でもある。

この本では、果たして白兵戦闘が日本の「伝統的な」戦術であったのか、また、いつから白兵戦闘が 日本陸軍の精神となっていったのか、についてあらゆる戦記、軍記をもとに検証されている。
結論から云うと、日本は古来から飛び道具主体の「遠戦主義」であり、伝統的に白兵主義を 行っていた国民ではない、白兵主義に移行したのは日露戦争前後、というもの。

戦術の検証には源平の合戦以降の軍記物などをもとにするのだが、この軍記物が誇大表現、 嘘偽りもあって、結構アテにならないものらしい。 また筆者の主張を借りれば、そのアテにならない軍記物が結構歴史の常識の様に一般にも流布している らしい。
例えば、織田信長が大量の鉄砲を用いて武田騎馬軍団を駆逐した長篠の合戦は個から集団への 戦術革命の様に云われているが、「信長記」にそのような記述はないなど、個人的には、 なかなか衝撃的な内容であった。

評価(5点満点):■■■■□

[2001/10/18]

指揮官の決断 (新潮社OH!文庫)
三野正洋・著
著者の三野氏は同じ新潮社OH!文庫で、もう1冊「改善のススメ」という著作も出している。
主に第二次世界大戦での兵器について「ここをこうすればもっと有効になった」という ポイントを様々な例を用いて解説した内容になっていて、戦史、戦術に興味を持つ私は何度か 読み返している本だ。

本書では、第二次大戦からソマリア内戦まで様々な戦闘での指揮官の判断を紹介している。
目立つのは旧日本軍の理解に苦しむ判断で、ミッドウェー海戦での謎の転進、 戦略的意味の不明確なインパール作戦、戦艦大和の沖縄特攻、 もちろん、史上最大の作戦であるノルマンディ上陸作戦、ベトナム戦争、中東戦争、湾岸戦争 についても紹介されている。

米国での同時テロの報復攻撃をアフガニスタンに対して行うハナシもあるが、アラブ人は 80年代に旧ソ連が行ったアフガン侵攻にも屈しない人種である。
山間部、高地という地形は兵站(補給)を困難にするし、宗教、思想に支えられた人民は 士気も高い。
米軍(多国籍軍)も湾岸戦争の時の様に安易には行かないのではないだろうか。
本の内容には直接関係ないが。

評価(5点満点):■■■■□

[2001/10/07]

ガリバー・パニック (講談社文庫)
楡 周平・著
楡周平の作品を読んだのはこれで2作目。
はじめ「ガリバー」というのは何か巨大なものを示す比喩的に使われているのかと思ったが、 ガリバーは巨人そのものであった。
物語は、突然体長100mを越える巨人が出現する。しかい巨人は"大きいだけで"日本語を話す 普通の日本人だった。
あまりに規格外の大きさに対応に苦心する政府、営利目的に巨人を活用しようとする企業など、 巨人を巡って日本中が喧騒に巻き込まれていく。

この本を読んでみた大きな理由として「どんなオチで決着をけるのか?」という事があった。
このテの「シミュレーション小説」は昔で云えば小松左京氏が得意としていた分野であり 楡氏の決着の着け方を読んでみたかった。
後半、予想はついてくるのだが、エンディング以外にも、巨人とその影響のシミュレーションに あたる描写も丁寧で、巨人と彼を取り囲む人々との交流も心温まる。

評価(5点満点):■■■■□

[2001/10/07]

機動戦士ガンダム 兵器モビルスーツ (宝島社)
圓道祥之・著
この本は文庫本ではないのだが、勘弁して欲しい。
機動戦士ガンダム(1stガンダム)の研究本なのだが、ガンダムにおいて主戦力となった兵器、モビル スーツについて纏められている。
この著者の他の著作に「ガンダム・一年戦争」という本があり、そちらは「一年戦争」全体に関する 内容について研究されているが、今回はモビルスーツに絞った内容なので、兵器好きな私には より向いた内容だ。

内容は大きく、@モビルスーツの開発・製造について、A地球連邦、ジオンそれぞれのモビルスーツの 性能、兵器の差異、B兵器としてどのように運用されていたか?という観点で纏められている。
この著者の特徴として、過去に実際にあった戦史、兵器の開発・運用の実例を併せて紹介しているので 単純にガンダムだけの本でなく戦史、兵器史についても知識が吸収できる。

そんな事知ってどうするかって?いいじゃないですか、好きなんだから..

評価(5点満点):■■■■□

[2001/09/17]

破線のマリス (講談社文庫)
野沢 尚・著
「リミット」に続いて読んでみた野沢作品。第43回江戸川乱歩賞受賞作。
今回は、敏腕の女性映像編集者が主役だ。
「リミット」も女性刑事が主役で、サスペンス+アクションの要素もあったが、こちらは地味目な内容。
女性編集者が自ら編集しTV放映された映像が元になり、彼女自身の運命が複雑に展開していくハナシなのだが (これでは何のことかわからない..)、正直、自分自身にとってはちょっと退屈な内容だった。
本質的に本格的なサスペンス、というのは好きではなのかもしれないが。

黒木瞳主演でビデオドラマ化もされており、読了後観てみた。
脚本家野沢氏の作品だけあって、ドラマでもほとんど脚色はなし、セリフも小説どおりのものが 多かった。
本を読むのが好きでない人はこちらを見てもほとんどストーリーはトレースできる。

評価(5点満点):■■□□□

[2001/09/17]

最強!侍伝説 (宝島社文庫)
別冊宝島編集部・編
かつて「別冊宝島」としてムック本で発売されていたが、最近は文庫本で発売されている。 この本もそんなものの1冊だ。
内容は歴史上の剣豪14名のエピソード他、時代劇などの架空のキャラクターについても語られている。
他には、剣豪同士の空想対決、また実際の侍の生活はどうだったか?刀や剣術の実際についても 検証されている。
剣豪ランキングでは、1位・新影流開祖の上泉信綱、2位・真剣木刀で200戦以上無敗の塚原卜伝、 3位は宮本武蔵大先生となっており、武蔵先生も上泉信綱、塚原卜伝の下にランクング されるのはまぁいい。
しかし納得行かなかったのは剣豪対決で、我が尊敬する宮本武蔵大先生が、円月殺法の (女たらし)眠狂四郎に敗けるという判定は何事か!

また恥ずかしながら、西南戦争で活躍した桐野秋利が中村半次郎と同一人物(改名した)だとは知らなかった。
他には剣豪というイメージの薄い坂本竜馬だが、千葉周作の北辰一刀流の使い手であり 幾つかの武勇伝を残していることもこの本で知ることができた。

時代小説、剣豪が好きな人にはインデックス的にも活用できてオススメ。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/09/03]

天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志祐介・著
映画化された「黒い家」の原作などで有名な貴志祐介作品。 貴志作品は何作か読んでいたので、この作品も読んでみた。

読み進めると幾つかの話が並行して展開し、一見どこで話しが繋がってくるか判らない。 しかし、物語が終盤に近づくに従って並行していた話が一気に収斂してくる。 さらに、終盤は「角川ホラー文庫」だけあってホラー小説的な展開を見せてくる。
ストーリーについて語るとこの作品の面白さが半減してしまうため(この本ではそれを考慮して "参考文献"さえも記載されていない)ここでは書かないが、500ページ超のボリュームも 一気に読破できてしまった。

評価(5点満点):■■■■□

[2001/09/03]

変身 (講談社文庫)
東野圭吾・著
「天空の蜂」に続く東野作品。
以前、何かのドキュメンタリー番組だったと思うが、臓器移植受けた患者が、それまで知り得なかった 言葉を話せるようになったり、経験したことの無いはずの記憶がある、などの現象を紹介したことが あった。
そこでは、人間の記憶は必ずしも脳だけで記憶されているものではなく、身体中の細胞レベルで記憶されて いる可能性もあり、結果、移植者にドナーの記憶が蘇ったのでは?とまとめていた。

物語は、暴漢により脳を銃撃された主人公が、世界初の脳移植を受ける。移植手術は成功したが、 主人公は少しずつ人格が以前と変わってきたことを自覚するようになる。主人公はドナーについて調べ 始めるが..

基本的に一人称でストーリーが進行するのだが、主人公の表現が、読者に意識させないうちに「僕」から 「俺」に変わっていたり、サブキャラクターの日記やメモを登場させて、主人公以外の視点でもストーリーを 進行させて幅を持たせたりと、文章表現の巧みさは流石だ。
Chapterも短く、ページ数も400ページ弱と長すぎないので読み易い。

評価(5点満点):■■■■□

[2001/09/03]

リミット (講談社文庫)
野沢 尚・著
1年ほど前、日本テレビ系列で、この作品が連続ドラマ化されていた。
作者はヒットドラマを数多く手懸けた有名な脚本家なので、名前は見て知っていた。
ドラマの方はストーリーに引き込まれて毎回見ていたのだが、当時、この作品はハードカバーの 単行本のみだったので、読んでおらず文庫本の発売待ちだった。

ストーリーについてはあまり語れないが、児童誘拐と闇の臓器売買をめぐるサスペンス。
原作とドラマでストーリーとほとんど同じで、若干エンディングが異なる程度だった。 ドラマの方が良く頑張って、原作に近づけた、という感じだろうか。
ドラマを先に見ている人でも違和感なく読めると思う。 (原作の方があまりにシュールな終わり方だったりすると、ちょっと悲しかったりする。)
先に紹介した「天空の蜂」同様、500ページ以上のボリュームがあるが、テンポ良くストーリーが進むので、 読みやすかった。(ドラマでストーリーを知っている、という事もあるかもしれないが。)

ドラマを先に見たせいか、主人公の有働公子は安田成美をイメージしてしまうし、 敵役は田中美佐子になってしまう。 片野坂刑事は佐藤浩市だ。
キャラクターの設定は全体的に、ドラマより原作の方が泥臭く描かれている様に思った。

評価(5点満点):■■■■■

[2001/08/13]

プロ野球場外乱闘! (角川Oneテーマ21)
駒田徳広・著
昨年(2000年)限りで現役引退した巨人→横浜の駒田選手の著書。
「満塁男」と呼ばれた勝負強さや、マスコミへの受け応えなど、個人的には好きな選手だった。
2000本安打を達成し、引退を余儀なくされたが、まだ十分活躍できる選手だったと思う。

内容は、先に紹介した佐藤義則選手同様、自伝的なものや、巨人時代、横浜時代のエピソード、 プロ野球選手でなければ知り得ない(語れる範囲での)ウラ事情、今のプロ野球の機構への 提言なども含まれている。
やはり興味深かったのは選手心理、打者心理に関することで、対峙する状況状況で、選手がどのような 心理状態でプレイしていたかが良く解る。

いつかの横浜−ヤクルト戦で、何点かリードされた9回裏、ツーアウト、ランナー無しの場面で駒田が 最終打者として打席に立ったのだが、あっさりと三振してしまったのを記憶している。
その時は「駒田って淡白なヤツだな」と感じたのだが、固執する必要のないところには固執しない、という 駒田選手の性格が、この本を読む事で裏付けされたような気がする。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/08/13]

「2001年宇宙の旅」講義 (平凡社新書)
巽 孝之・著
SF好きなら、一度は通らねばならない映画、それは「2001年宇宙の旅」である。
私自身、一桁代、10代、20代と何度かテレビ放映やレンタルビデオで見たことがあるのだが、 この映画、どうしても解らなかった。
ヘンに耳年増になった今ならこの映画の謎が解るかもしれない、という事で読んでみることにした。

しかし、である「・・・だが「2001年」は戦後60年代ラディカリズムが抱く「未来への期待」を一身に浴びて ニーチェ的永劫回帰の果てに悲劇とも喜劇ともつかない人類の黙示的新生を占う作品だ・・・」(本文より) というような文章が延々続くのである。
どうして学者というのはこういう表現をしてしまうのか。もっと簡潔な表現ができないものなのか。 バカが読んでも理解できるような表現をするのが学者でしょう、などと思いつつも取り敢えず読破した。
ついでに「2001年」を理解したいがために、「2001年」のDVDまで買ってしまった。 (映画は素晴らしいと思うが。)

「読み物」としては、私は好きじゃありません。こういうのが好きで理解できる方にはどうぞ。

評価(5点満点):□□□□□

[2001/08/13]

大人の野球〜不惑のノーヒット・ノーラン (KKベストセラーズ新書)
佐藤義則・著
'98年に引退した元オリックス・ブルーウェーブ投手・佐藤義則の著作。
佐藤投手といえば、'95年40歳にしてノーヒット・ノーランを達成し、それ以前の阪急時代からオリックスと 永きにわたって活躍していた投手だ。
この本は、彼の半生を記した自伝記でもあるが、プロ野球の投手という人間がどのように考えて 試合やトレーニング、調整を行っているか、また直接接している対戦相手やチームメートの 裏話的なものも書かれている。

特に関心を持って読んだのは投球術、配球に関する部分だ。
「内角攻めではないから攻めの投球ではない」、「3球勝負などせずに遊び球をはさめ」など、 セオリーと云われていることもケースに応じては誤まりとなりかねないなど、長く現場でやってきた 人ならではの視点だった。
それから、今までよく解らなかったのはサインの出し方。
キャッチャーが指をいろいろとやっているが、これについて明確に説明してくれていた本はなかった。
しかし、野球選手もアタマが悪くては務まらないんだなぁ。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/07/23]

宣戦布告(加筆完全版)上・下 (講談社文庫)
麻生 幾・著
四方を海に囲まれた日本では、他国から侵略を受けるという事は実感し難いものだ。
物語は、北朝鮮と思しき国の潜水艇が敦賀半島に上陸、北朝鮮の特殊部隊11名が半島に展開する。
突然の侵略行為に対して当初、警察力で対応するが、錬度、火力で上回る北朝鮮兵士を阻止する 事ができない。
この状況に対して、国家は自衛隊の投入を決意するが..

北朝鮮による日本侵略というプロットに興味を持って読んだが、小説というよりシミュレーション という感覚だった。
また、北朝鮮兵士と警察、自衛隊の攻防がストーリーのメインではなく、憲法解釈、有事立法をめぐる 政治家、役人の活動、というか裏工作的なものが主体。そういった意味では期待外れであった。
著者の麻生氏はもともとノンフィクション作家なので仕方ないと云えば云えるが。

評価(5点満点):■■■□□

[2001/07/23]

天空の蜂 (講談社文庫)
東野圭吾・著
東野圭吾の作品を読むのはこれが初めて。
印象では、もっと推理小説然としたミステリーを書く人だと思っていたが、 この作品はエンターテイメント性溢れる作品に仕上がっている。

物語は、極秘に開発された最新技術を搭載した自衛隊のヘリコプターが、何者かの手で 強奪されるところから始まる。
強奪されたヘリが向かった先は、意外にも稼働中の原子力発電所上空。
犯人は原子力発電所の停止を要求、要求が容れられない場合は原発へヘリを墜落させると宣言した。
政府の対応、犯人を追う警察捜査陣、危険な場に臨むヘリ開発技術者、原発職員の描写など ひじょうに読み応えのある作品だった。

作者の東野氏は生産技術エンジニアであるせいか、ヘリコプター、原発の技術もよく研究 されており、リアリティある描写が作品に厚みを加えている。
日頃意識することの少ない原発の意義について考えさせられる作品でもあった。

評価(5点満点):■■■■■

[2001/07/14]

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