『5月5日、吉原名誉会長がご逝去されました。あざみ野キッカーズを創設され、長
く会長を務められ、我々の将来の模範であり、生きがいを与えてくれました。あざみ
野キッカーズが、サッカーを生涯スポーツとして、ゆりかごから墓場までをモットー
にした原点が吉原さんです。そして実践をしてこられました』(国方さんのメールよ
り引用)。
オイラを含め、若い世代のキッカーズメンバーは吉原名誉会長と同じグラインドで
プレイした経験がない人がほとんどだと思う。とはいえ、毎週ノビノビとサッカーを
できる環境を作ってくれたのは、吉原名誉会長のお陰である。実をいうと、オイラは
そんなこと忘れていたし、本当のことをいうと考えもしていなかった。
当たり前のようにグラウンドに来てボールを蹴る。
この行為(サッカー)をするために尽力した人達がイッパイいる。吉原名誉会長のご
遺体を出棺する際、キッカーズ創設時に使用していたグラウンドに寄った。そこには
ゴールもなく、ミニゲームがやっとという広さ。さらに、創設時のサッカー認知度を
考えるとこの場所を確保するのでさえ、七転八倒の思いで駈けずり回ったのだと思
う。まさに、この小さなグラウンドこそがあざみ野キッカーズの原点。吉原名誉会長
のサッカーにかける
熱い想いを絶やさないためにも、そして、キッカーズがこれからもステキなクラブと
して発展して行くためにも、この場所を忘れてはいけない。守っていかなげればいけ
ない。このコラムがその先駆けになれればと思う。
さて、今回は吉原名誉会長に深い哀悼の意を奉げる意味もあり、先に開催される
FIFAワールドカップについて話したいと思う。たぶん、吉原名誉会長も楽しみにして
いたと思う日本で開催されるワールドカップ。中田英寿や小野伸二など世界で活躍し
ているプレーヤーが登場し、サッカーファンのみならずかな〜り期待が高まってい
る。
その人気をモロに表しているのが観戦チケットといっても良い。面倒くさい手続き
を踏んだ第1次販売。広報がいきわたらずに中途半端になった電話による第2次販
売。しかも、開催地のある都道府県を優遇したり、スポンサー企業にチケットを大量
にばら撒いたりと、一般市民と運営サイドとの間に感覚のズレや温度差があるのは確
かだ。でも、これはしょうがないと思う。すべて円満に解決するチケット販売方法な
どはない。運が良い人は当たるし、運がない人は当たらない。それはそれで公平だ。
しか〜し、しか〜〜しである。
日本にはサッカー文化がない、という人がたくさんいる。でも、細々と零細スポーツ
のサッカーを続けていた人もたくさんいるのである。Jリーグが始まるすっと前か
ら、ボールを蹴っていた人がたくさんいるのである。その人達にとって日本で開催さ
れるワールドカップというのは、夢にも思わなかったことだと思う。
そういう日本サッカーを底辺で支えてくれた人を無視して「ワールドカップが日本に
来る!!」なんて浮かれてはいか〜ん!!
この日本の中には、吉原名誉会長のようなご高齢のフットボーラーがたくさんいる。
彼等のためにチケット販売枠を設けるという発想はできなかったのだろうか? 世界
で活躍するヒデやシンジがサッカーに出会えたのも、日本にもしっかりした土台が
あったからなんだけどねぇ。
吉原名誉会長のご冥福を心よりお祈り致します。

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