Komatsu Report #4 from Beijing. |
Beijing レポート#4:はるばる来たで万里の長城(長編) すっかりご無沙汰していますが、皆さんお変わりありませんか。長い梅雨のようでしたが、さぞかしその分夏は暑いのではないでしょうか。一方で台風がたくさん来ているようですね、皆さんご注意くださいね。 ここ北京の夏は例年に比べると冷夏と言える状況のようです。梅雨空のような状況が長く続き、からっと晴れることが非常に少ないです。そんなわけで、暑くて生きているのも辛い・・・という状況にはまだ出くわしていません。 さて、前置きはこのくらいにしておいて、本題に入りましょう。少し前のことになってしまいますが、今回は万里の長城へ行ったときのことをレポートします。やっぱり中国といえば万里の長城でしょう! <パート1:チャレンジ#1> 通常であれば万里の長城へは、チャーターバス、ツアーバス、直通バス、タクシー等々で行くのでしょうが、無謀にも我が家はローカル列車に乗っていくチャレンジを選択しました・・・いや、決して後悔していませんが・・・ 何故列車の旅を選んだのかって?・・・実は「地球の歩き方(北京)」に紹介されていたからなのです。とても楽しそうに紹介されており、我々もノリノリになってしまいましたが、数多くの困難が待ち受けていようとは、計画段階では予想すべくもありませんでした。 その日は朝早くから起きて、余裕を持って出発・・・の予定でしたが、タクシーで行けば良いところを、ローカルバスの乗り継ぎで行ったので往生しました。乗り継ぎ場所が同じバス停の名前ながら距離が離れていて、なかなか見つからないのです。やっとのことで見つけたのですが、今度は降りるバス停の名前がガイドブックと違う!結局行き過ぎてしまい、タクシーを拾うことになってしまいました・・・しかもそのタクシー運転手、何度説明しても行く先を分ってくれないのです・・・あせる、あせる・・・列車の時刻は刻一刻と迫って来るのに〜! 列車の始発駅は「北京北駅」なので、電辞書で調べ、発音も何通りも試してみて、かなり頑張ったのですが、どうしても分ってくれません。こちらは「なんでタクシー運転手が駅をしらないのだ〜!」とイライラが募るのですが、どうしようもありません。結局、運転手さんが地下鉄(地鉄)の駅だと思い込んでいたようで、列車(火車)だと分って、漸く案内してくれました・・・ぜえぜえ・・・どうやら列車はマイナーなのでしょうか・・・この辺からいやな予感が・・・ タクシー運転手からは「この先は入れないから、歩いていってね。駅はこの先だよ」と言われ、分った気になっていたのですが、あっさり道に迷ってしまいました。それでもあちこち歩き回るうちに、漸く「駅」らしきものを発見!勇んで切符売り場に走り寄りました。そのとき出発時刻まであと約15分。まだ楽勝です。 悲劇は突然に訪れました。切符売りの駅員曰く「もういっちゃったよ。一日一本だからまた明日〜」。「そりゃあないよ〜ガイドブックで事前に調べたのに〜」。しかしそんなこちらの気持ちは通じる訳も無く、ましてや特別列車をしたててくれる訳も無く、家族の冷たい視線 そんなへこんだ表情を察してか、タクシーの運転手さんが一斉に寄って(群がって)きます。「万里の長城まで往復400元!貸切だよ(筆談)」。私には福音に聞こえましたが、家族は既に列車で気持ちが固まっており、「諦めて来週また来ようよ・・・」ということになりました。因みに列車料金は大人一人片道4元(¥60)です。これ安すぎますよ・・・ 脇道にそれますが、「地球の歩き方(北京)」の内容は要注意です。出版社が悪いのではなく、北京の変化が早すぎるのです。ガイドブックを頼りにたどり着いてみると、工事中・・・ということがざらです。ひどいときには通り全体が再開発中なんてこともあります。そんなわけで、北京ではガイドブックを鵜呑みにすることなく、事前の再確認が必要・・・と思い知らされています。 <パート2:チャレンジ#2> その後何週間かは生憎の空模様で、我が家の長城プロジェクトは延期の憂き目に会っていましたが、6月に入ってチャンスが巡ってきました。今回は列車の時刻も再確認しています。バスの乗り継ぎもやめて、確実な地下鉄を選択しました。あとは突然のダイヤ変更が無いことを祈るのみです。ひょっとして満席なんてことは・・・ プラットフォームのかなり手前の切符売り場で切符がついに買えました。傍の売店でカップラーメン等の食料を補給(ガイドブックには「列車の旅にはカップラーメンが欠かせない、列車ではお湯のサービスがある・・・と書いてありました」)、今度こそ、臥薪嘗胆、捲土重来の意志も新たに、列車までと突き進みました。因みに、その売店で割り箸をもらおうと二本指ジェスチャーで要望してみたのですが、紹介されたのは煙草でした・・・なかなか思うように行きません。ところでフォークはカップラーメンの容器の中に入っていたのでした。 まっすぐ進むとプラットフォームの直前で黒山の人だかり、皆列車を待っているようです。最初は我々も大人しく並んで待っていたのですが、どうも不安です。思い切って、前にいるお兄さんに切符を見せながら「これ、ここでいい??」と聞いてみました。答えは「あっち!」でした。良く見ると人が全く並んでいない右側にも入り口があり、長城(八達嶺:バーダーリン)方面と書いているではありませんか。御礼もそこそこに、あわてて走る我が一家です。ひょっとしたら定刻前に出発してしまうかもしれない・・・何があってもおかしくない・・・という強迫観念に駆られています。 なんだかとっても分りにくい構内を抜けて、歩道橋を渡り、ようやく列車にたどり着きました。今度は漸くなんとか乗れそうです。なんだか、もうここまでで殆どのエネルギーを消費してしまっています。 <パート3:オンボロ列車の旅> 列車はオンボロなのですが、一応全席指定。席に行ってみると対面式の座席が片側に6(8?)人掛け、反対側に4人掛けの構成になっています。我々4人が指定された座席はなんと横一列・・・もう少しなんとか考えて欲しいなあ・・・ところで、座席はビニールの完全垂直(90度)シートでした。居心地最悪です。 この10人エリアでの登場人物は以下の通り。 幸松家4名、中国吉林省(東北地方)出身親子連れ3名(娘さんは天津で学生。少し英語話す。両親は地方の人らしく東北出身なのに顔は真っ黒、そして深いしわ・・・これまでの苦労が見て取れるようでした。可愛い娘には苦労させたくない、という気持ちが伝わってくるようです。)、そして謎のおばさん1名の計8名。 思い切って頑張って話しかけ、席を交換して我々家族4人を窓側の4人エリアでまとめようとしたのですが、上手く行きませんでした。結局3人親子が6人コーナーの窓側に固まり、謎のおばさんが4人コーナーに一人で座る(おばさん、一人なのだからこっちに座ってよ〜とは言えませんでした・・・)。結局、我々4人はその中間に座るという全く中途半端な意図しない状況になってしまいました。 ところで周りはほぼ満席です。どうみても必ずしも裕福ではない人たちが乗車しています。因みに私の会社の中国人は誰もこの列車の存在を知りませんでした。かなりのベーシック庶民列車と言えましょう。 となりのブロックでは賑やかな親戚グループがトランプをやったりして盛り上がっています(実はかなりうるさい!)。そのなかの約1名は本当に煩い!(通称、角刈り、隣には通称、たこ入道もいる。勝手に幸松が名付けたあだ名です。失礼)。角刈り君、携帯で大声で長時間通話するわ(多分携帯持っていることを自慢している)、大声であくびして、その最後に「わーっ!!」って咆えていました。これ日本では絶対ありえませんよね。我々4人は、ぎょっとして飛び上がってしまうくらいでしたよ。日本では「ふぁ〜あ」とか「あ〜あ」とか聞こえるか聞こえないか位なんでしょうがね。 車内販売がやってきました。皆、一元で小さな袋の物をうれしそうに買っています。私も好奇心で買ってみました。中身は「ひまわりの種」でした。これがまた、塩味が効いていて美味しいのです。ビールが欲しいなあ、でもちょっと硬いなあ・・・と思っていたら、件の謎のおばさんに「あんた、ひまわりの種は殻をむいて中身を食べるんだよ。殻なんか食べて野蛮人かね(想像)」と教えてもらいました。どうりで硬いわけです・・・ おばさんは皮のむき方(上下の前歯ではさんでパリッと割る)も実演で教えてくれました。我々はその皮はティッシュにつつんで・・・とやっていたら、「皮はその辺に捨てておけばいいのよ」とのこと。良く見ると角刈り君はぺっぺっと親子で床にはき散らかしています。ちょっと出来ないですよねえ。窓下の小さなテーブルにそのままにしておくのも抵抗があります。でも、ここは中国、割り切らねば! ところで、期待していたカップラーメンのお湯サービスはありませんでした・・・きっと寒い時期のみのサービスなのでしょうね。 車内は禁煙・・・のはずで、張り紙もしてありますが、そこは「やったもの勝ち」の中国、お咎めなしです。しかもご丁寧に「痰吐き禁止」の張り紙もありましたが・・・ 列車は各駅停車の単線列車、何度ものんきに時間待ちしてゆったりと進んでいきます。北京北駅をでてものの10分もするとものすごい田舎、しかも住環境は劣悪でした。中国全体での沿岸部と内陸部の貧富の差が叫ばれていますが、北京市内にももの凄い貧富の差があるのだと思い知らされました。失礼ではありますが、どうみても貧民窟、ブラジルサッカー選手のサクセスストーリーに出てくる貧民窟以上の劣悪さと見えました。 そうこうしているうちに列車は「八達嶺」に到着です。車だと1時間半弱でこられるところ、既に3時間以上経っています。疲れました・・・ところで「八達嶺」ですが、北京から日帰りで行ける長城として大変な人気です。おそらく日本人旅行客の殆どの人が行くのがここでは無いでしょうか。 駅から長城までは徒歩にて約1km、長城の入り口に漸く到着した頃にはお昼も近くなっていました。いかにも観光地といった感じで、多くのレストランやみやげ物店が軒を連ねています。さて我々は先に昼食を済ますことにしました。基本的に中華料理はどこでも安くて美味いのですが、ここは一見さん向け観光地らしく、珍しくはずれでした。でも我慢できないレベルでは無かったです。少し美味しくなかったけれど、バカ高いというほどでは無かったです。まあ、しょうがないですね。 レストランを出て、正面の階段を登ると長城博物館がありますが、これは帰りのお楽しみにして、長城へと直接向かいます。道の両側には土産物やがひしめき合っていますが、それにも目もくれず登っていきます。 さて、漸く登場口です。右側と左側の二つオプションがあり、日本では男坂、女坂と呼ばれていて、少しゆるやかな右側の女坂が人気なようですが、あまのじゃくな我々は空いていて、より急坂と言われている左側を登ることにしました。ところで、足腰、体力に自身の無い人にはロープウエーがあることも一言付け加えておきます。 流石に最初から急な登りです。高所恐怖症の私には帰りが思いやられます・・・が死ぬほどきつくは無いです。なんとか大丈夫です。家族4人でせっせと登りました。 長城は良く補修されていて、急ではありますが安全です。眺めも良いので、良く晴れた日には素晴らしい眺望が楽しめることとおもいます。また、長城の上にも物売りの人たちがたくさんいて、これをひやかすのも楽しいです。でも高いから無駄遣いしないでくださいね。 数々の城楼で休息しながらついに終点までたどり着きました。ここまでくると人もまばらで、さすがに静か・・・終点の先も長城は続くのですが、修復されておらず、朽ちるに任せられているため、立ち入り禁止になっています。これはこれでまた風情がありますが。 長城でもエチケットはいまひとつでしたね〜。小さい子供にゴミ箱の中に用を足させている母親もおりました・・・誰が掃除するのでしょうね。それと時折携帯でどなっている中国人もいましたよ。 帰りはスタコラサッサと降りました。なんとSTARBUCKSがあったのでそこでコーヒーを飲みましたが、どこにでもありますねえ。恐るべしスタバ、故宮内にもありましたよ。 帰りはまた列車に乗って帰ってきました。帰りは自由席でしかも満員。中国人がひしめく中、親子4人バラバラに座って帰ってきました。いやあ疲れましたよ。ホント。 列車の中で美味そうに冷たいビールを飲むおじさんがいましたが、トンネルに入ると空き瓶を窓から放り投げるのです。「ガシャ―ン」という音が車内に響き渡っていましたが、お構いなしでしたね。私はトイレが心配なので飲みたいのをぐっと我慢しました・・・ そんなこんなで我々のすっとこどっこい野次喜多、長城道中は終わりです。一日本当に疲れました。今度は別の長城にチャレンジしてみます。でも次はバスにします・・・ http://www.arukikata.co.jp/city/BEI/1_2.html お奨め図書: 中国人の食事、健康・美容に関する考え方が垣間見られます。
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