幸松 Report #2 from U.S.A. |
「幸松、クレジット社会の洗礼を受ける!」 アメリカはクレジット社会とは聞いていました。しかしここまで徹底しているとは... 無知で無邪気な幸松、泣かされました。 (前書き) アメリカでは余り多くの現金を持ち歩きません。安全上の配慮からだと思います。その代わり、クレジットカードや小切手を多用する訳ですが、これが新参者には曲者です。 クレジットカードはアメリカ国内での優良な履歴が無いと新規開設できないのです。私のようなよそ者は勿論会社が信用を肩代わりしてくれますが、カード入手までには時間がかかります。日本で作成したカードは使えますが、日本の口座に請求が行くので赴任者向きではありません。 小切手(Check)ですが、これを使用する際には身分証明証の提示を要求されます。クレジットカードや運転免許証(米国)がそれにあたるようです。 しかし、赴任当初は運転免許証もクレジットカードも当然無い訳です。 (本文) あれは忘れもしない2月15日、家族が日本からやってきた当日でした。寝不足と時差ぼけに苦しむ家族を、生活立ち上げの為無理矢理買い物に連れ出したのです。目指すはIKEA(アイケア),知る人ぞ知るスウェーデン発祥の、家具及び日用雑貨大型専門店です。自分で組み立てするので割安で、品揃えも豊富なのが魅力です。しかし、CS(顧客サービス?)に落とし穴があったとは! 疲れに疲れた家族を引きずり回し(次男は買い物カートの中で眠ってしまいました。長男は我慢の男でした。)、椅子などを選んでようやくレジにたどり着いたその時です。当然のごとくカードを持たない幸松は小切手を取り出し、おもむろにサインをし、レジに差し出しました。 まずはジャブ。良く分からない早口の英語で、若いあんちゃんがこうのたまいました。「臨時のCheck(小切手)じゃ駄目、正規の名前と住所がプリントしてあるものにして」。「はいはい、分かりました。書き換えます」(この間駐車場まで走る)。「じゃあ身分証明書を見せて下さい。運転免許証かクレジットカード」。「(「そんなのあるわけないじゃん」と思いつつ)パスポートでいいか?」。「いいよ」。(この間駐車場までまた走る)。 ここまでは良かったんです。でも、人様のパスポートをじっくり見た後でいきなりパスポートじゃ駄目だっていいだしたんですよね。ビザ(査証)でも駄目だって言うんです。パスポートじゃアメリカが発行したんじゃないから駄目だって。 「そんなことない。ビザはあんたの国が発行したんですよ」。「そんなの関係無い。ここはIKEAだよ」。ここにきて温厚な幸松もきれました。Managerを呼んでもらい、再交渉をはじめたんです。でも登場したManagerもいまいちで、「銀行口座に残高があるかどうか、今電話して確かめられるか?」ときたもんです。金曜日の夜7時に開いてる銀行なんてある分けないですよね。「チェックのお客さん全員に同じ事聞くのか?」って聞いたら「聞く」って言うんです。「嘘つけ!!」 もう本当に何から何までさらけ出した後でのことだったので、さすがに頭に来ました。もう、こうなったらともかく破れかぶれで、主張しまくったんです。恐い顔で... 銀行には月曜日に聞いてくれ!ビザはアメリカ政府が発行したんだ!免許証より偉いんだ!なんて官僚的なんだ!って。 ふと気づくと、横には疲れきった家族が心配そうに見ています...目が訴えています。 「あんたの努力はわかったが、何でもいいから早くして」と... 因みに、次男は精算前の枕によだれを垂らして寝ていました。 (後書き) 結局、ともかくいいかげんな英語でまくしたてたお陰で何とかなりました。品物は引き渡され、チェックが受領された訳です。Managerの捨てぜりふは「月曜日に残高確認するから」だって!勝手にしろ!!数日後、銀行口座から何事も無かったかのように代金が引き落とされていました。 その後もチェックを使う度にパスポートを提示していますが、大体はManagerに確認が入り、幸松の後にはレジを待つ行列ができてしまいます。毎度はいやですよね。 最近ようやくクレジットカードが届きました。会社が銀行機能を持っていて、そこが発行してくれたんです。もうこれでいやな思いはしなくて済みそうです。 色々と勉強させられましたが、「とにかく主張すれば何とかなる!」かもしれない?というのが解っただけ収穫でした。たまたま今回だけ何とかなったのかも知れませんが、ともかく自己主張し、自分の信じたことを言ってみることにします。 最後に、家族からはお褒めの言葉が全く無かったことを付け加えておきます...
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